トップへ

隈研吾の30年の活動を掘り下げる展覧会が開幕、新国立競技場やV&Aなど新作も

2018年03月01日 22:33  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

展示の様子 Image by: FASHIONSNAP
建築家の隈研吾の約30年にわたる活動を紹介する展覧会「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」が、3月3日に開幕する。これに先駆けて3月1日の今日、内部が公開された。約80におよぶプロジェクトを、竹や木、紙、土、樹脂など10種の物質別で構成。設計者として携わる「新国立競技場」や、9月に開館する「ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム ダンディ(V&A at Dundee)」、2020年春に暫定開業を予定している「品川新駅(仮称)」といった現在進行中のプロジェクトの模型も展示されている。

 会場内の展示は「竹」「木」「紙」「土」「石」「金属」「瓦・タイル」「樹脂」「膜・繊維」「ガラス」から構成。模型や実際に使用された素材に隈研吾自身が手掛けたダイアローグを添えて、各プロジェクトを紹介している。
 主な展示作品は、中国・万里の長城の脇に建つ小さなホテル「Great (Bamboo) Wall」や「梼原 木橋ミュージアム」「ティファニー銀座」「LVMH大阪」、小松精練のファブリック・ラボラトリー「ファーボ(fa-bo)」などのほか、竹ひごを使用した新作パビリオン「香中(こうちゅう)」、茶室「浮庵(フアン)」をはじめとする過去のパビリオンも公開。また、職人とコラボレーションした小規模のプロジェクトも取り上げている。これらの作品に共通して、設計する上で心がけていることは、昔の日本建築のように「なるべく小さなピースで作ること」。新国立競技場にもその考えを反映するという。
 活躍の場は国内外と多岐にわたるが、「木は圧倒的に日本、アルミはフランス、石はイタリアが得意。自分のスタイルを推しつけるのではなく、材料の良さを教わるつもりでやると、それぞれの得意な部分を引き出すことができるので面白い」と建築の仕事の楽しさを語った。近年は「膜・繊維」に関心を寄せており、品川新駅は「木と繊維を組み合わせた明るくて温かい駅にしたい」とコメントした。
 隈研吾にとって、自身が手掛けた作品群はアート作品ではなく「研究」の軌跡。材料の面白さは「五感全部に訴えてくること」とし、今回は「各物質が放つ匂いが感じられる、他の展覧会と違う体験ができるのでは」と説明した。
■くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質会期:2018 年3月3日(土)~5月6日(日)休館日:4月30日をのぞく月曜日開館時間:10:00~18:00     ※金曜日は20:00 まで開館、入館は閉館の30分前まで会場:東京ステーションギャラリー住所:東京都千代田区丸の内1-9-1公式サイト