ルノー・スポールF1のマネージングディレクター、シリル・アビテブールが、今季ルノーは『安全策』を採ろうとしているとの報道に異議を唱えた。
一部の人々、特にレッドブルのチームボス、クリスチャン・ホーナーは、年間3基までに制限された今年のルールに合わせて、ルノーがパワーとパフォーマンスを抑えようとしているのではないか、との懸念を表明していた。
だが、アビテブールによれば、決してそのようなことはないという。ルノーは、少なくとも2017年最終戦のアブダビで示したのと同じレベルのパワーを維持して、新たなシーズンの幕開けを迎えると彼は主張した。
「(今季の出力レベルは)昨年の終わりに、フルパワーで使った時と同等になるだろう」と、アビテブールは言う。
「昨年のアブダビでの仕様は、パフォーマンスと信頼性のバランスが最も良かった。今季の開幕に向けては、特に実際に引き出せるマキシマムパフォーマンスの点で、アブダビでのレベルをターゲットにしたい」
しかし、ルノーにとって、依然として信頼性が最優先事項であることは、彼も認めている。
「信頼性に重点が置かれてきたという事実は、私も認めざるをえない。その理由は、あらためて言うまでもないだろう。ただ、私たちが忘れがちなのは、信頼性と競争力とパフォーマンスは密接に関連しているということだ」
「特に昨年は信頼性の問題が多発して、パワーの面でのポテンシャル、あるいはエンジンの性能的なポテンシャルを、大幅に引き下げるしかなかった」
「実際のところ、今年の目標は、まず信頼性を確保して開幕を迎えることにある」と、アビテブールは述べた。
「そうすれば、いずれはエンジンのポテンシャルをフルに使えるようになる。昨年はそれができなかった」
「まず何を優先すべきかは、それほど深く考えずとも理解できるだろう。だが、何度も言うように、この話で重要なのは、コンポーネントの信頼性を確保すれば、パフォーマンスを上げるための選択肢も増えるという事実だ」
「パフォーマンスと信頼性を分けて考えることはできない。このふたつは相伴って進歩する。信頼性の改善に取り組むのは、結局はパフォーマンスの向上に取り組むのと同じことだ」
とはいえ、現時点ではグリッド上のどのチームも、シーズン全体をたった3基のエンジンで乗り切れるという自信はないに違いない。アビテブールによると、彼のチームもグリッドペナルティの問題をどう扱うべきかについて、すでに考え始めているという。
「パワーユニットあるいはV6エンジンを年間3基で戦うより、4基使った方がベターな結果を見込めるということなら、そうした判断をする可能性はある。だが、そんな話をするのは、まだ時期的に早すぎる」
概して言えば、アビテブールとしては、ルノーが陥っている「あちらを立てれば、こちらが立たず」の状況を、ただ嘆くしかない立場にあるようだ。
「F1のエンジンサプライヤーというのは、世界中で最悪の仕事だ」と、彼は言う。
「信頼性が足りなければ壊れすぎだと責められ、何とか信頼性を確保すれば、今度は競争力不足だと責められるのだから!」