日本穀物検定協会が発表した「2017年産米の食味ランキング」が話題だ。今まで28年連続で「特A」を獲得してきた「魚沼産コシヒカリ(中越地方のコシヒカリ)」が初めて特Aを逃した。
一方、埼玉県・県東の「彩のきずな」、高知県・県北の「にこまる」、佐賀県の「夢しずく」の3点は初めて特Aを獲得した。埼玉県産米が特A評価を受けるのは26年ぶりで、ランキング発表を受け、「彩のきずな」には注文や問い合わせが増加しているという。
生産者にとってAと特Aは「オリンピックの金と銀みたいなもの。大きく変わる」
食味ランキングは白飯の味や香りなど6項目が評価対象。複数産地コシヒカリのブレンド米を基準とし、基準米より特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、おおむね同等を「A'」、やや劣るものを「B」、劣るものを「B'」とする。2017年産は151点が出品され、うち43点が「特A」、76点が「A」、32点が「A」を獲得している。「B」と「B'」を受けたものはなかった。
埼玉県農林部の担当者によると「彩のきずな」は県が9年がかりで開発し、2014年に品種登録された。粘りが強くもっちりした食感で、タンパク質が若干多めのため、甘みと旨みのバランスが良いという。15年産から出品していたが、15年産はA'、16年産はAと、特A獲得には至らなかった。
「A'」や「A」評価の米も十分美味しいそうだが、「生産者にとってAと特Aの違いはオリンピックの金と銀みたいなもの」(県担当者)。16年産の評価時には生産者から「あと一歩だった、惜しかったね、という声が出ていた」という。
「やはり特Aとなると、生産者の気持ちは大きく変わりますね」
発表から一夜明け、県には消費者から「彩のきずなはどこに行けば買えるのか」といった電話やメールが数件来ている。生産者からも、種を買いたいと問い合わせがあったという。
「ランキング発表後、楽天市場での注文数が相当増えました」
幸手市にあるJA埼玉みずほさくらファームは、「私達も今朝評価を知ったばかり。これからアピールしていこうと、今は店頭用ポップを作っているところです。今週日曜日に試食会を開催することも検討しています」と、売出しに力を入れる。
JAいるま野では「彩のきずな」を楽天市場に出品しているが、「昨日の発表後に注文が相当数増えました。管轄内の直売所への問い合わせもあります」と、こちらも反響は大きいようだ。
彩のきずなは現在、埼玉県内で生産される米の1割程度を占める。スーパーや量販店にはあまり置いておらず、JAの直売所を中心に販売されている。