ヒュンダイへのスイッチを表明したM1RAのダビド・バリ(左)とヒュンダイ・モータースポーツのテクニカルディレクター、アンドレア・アダモ WTCR世界ツーリングカー・カップへの併合に伴い、2017年が最後のシーズンとなったTCRインターナショナル・シリーズでチームズタイトルを獲得したハンガリーのM1RAが、2018年からヒュンダイにスイッチすると発表した。
2017年はアッティラ・タッシ、ロベルト・コルチアゴのペアでTCRインターナショナルに参戦し、両ドライバーとも最終戦までタイトル争いを展開。18歳の若手タッシが王者ジャン-カール・ベルネイに次ぐランキング2位の成績を収めたM1RAチーム。
その代表を務め、WTCC世界ツーリングカー選手権ではホンダのワークスドライバーとして戦い、今季はイギリスのBRCレーシングに移籍してヒュンダイi30 N TCRでWTCRに参戦するノルベルト・ミケリスの決断に同調するように、チームもJASモータースポーツ製のホンダ・シビック タイプR TCRからヒュンダイが製造するi30 N TCRへのマシンスイッチを決めた。
M1RAチームとしては、まだどのTCRシリーズに参戦するかを明らかにしておらず、現時点で競争レベルの高い国別シリーズへの参戦に向けフォーカスしているという。
「懸命な努力が成果を挙げるのを目の当たりにするのは、常に爽快で気持ちの良いものだ」と語るのはM1RAでミケリスとともに運営に関わる共同代表のダビド・バリ。
「TCRインターナショナル最後の王者となってこのオフシーズンを迎え、ドイツにあるヒュンダイ・モータースポーツの本拠地を幾度か訪れた。その度に、彼らの専門性とプロフェッショナリズムにとても感銘を受けたよ」とバリ。
「私はM1RAとヒュンダイi30 N TCRの組み合わせは、TCRのカテゴリーで強力なパッケージになると確信している。チームの潜在能力を引き出すためには、強力なカスタマーサポートを提供してくれるマニュファクチャラーのバックアップが不可欠だ」
「今季に向けてはいくつかの選択肢があり、強力なTCR地域選手権で競争できればハッピーだ。もちろん、M1RAとしてWTCRに参戦する可能性も除外しているわけではないよ」
今回のM1RAのアナウンスも含め、ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーチームは世界中で増殖しており、イタリアの強豪ターゲット・コンペティションもホンダからヒュンダイにスイッチしTCRヨーロッパに参戦することを発表。
WTCRではイバン・ミューラー・レーシングが、テッド・ビョークとミューラーの強力タッグで参戦し、前出のBRCレーシングからはヒュンダイ・モータースポーツ契約の開発ドライバーとして2017年からマシンをドライブしてきたガブリエル・タルキーニとミケリスがエントリー。
さらにBRCレーシングはWTCRと並行してTCRイタリア・シリーズにも2台のマシンを送り込み、フェデリコ・パオリーノとエリック・スカルビーニにステアリングを託すべく、すでにバレルンガでオフテストを開始している。
また、北米ではPWCピレリ・ワールドチャレンジに新設されたTCRクラスに向け、インディやGRCグローバル・ラリークロスにも参戦する強豪ブライアン・ハータ・オートスポートがトップカスタマー待遇でエントリーするなど、ヒュンダイi30 N TCRは本格デリバリー開始のデビューイヤーにもかかわらず、多くのカスタマーを獲得している。
また、2018年はJASモータースポーツが新型FK8のシビック・タイプR TCRを投入し、プジョースポールも308TCRのアップデート版を供給。さらにフォルクスワーゲン・モータースポーツもゴルフGTI TCRに空力面での改良を施すなど、各陣営が続々とポテンシャルアップを実施するなか、TCR規定の礎を築いたセアト・レオンTCRも、市販ロードカー部門のハイパフォーマンス・ブランド新設に伴って、新たに『Cupra(クプラ)』の名称で、TCRマシンを販売することを発表した。
かつての高性能モデルにも使用されたこの『Cupra(クプラ)』の名称に生まれ変わったセアトのTCRモデルは、基本的にレオンTCRのアップデート・バージョンとなり、サスペンションジオメトリやエンジン制御などをファインチューンしたもの。
このセアト・クプラTCRはすでに第一号モデルがオランダのバス・コーテン・レーシングにデリバリーされており、今季のTCRドイツとTCRベネルクスへの参戦を表明している。