2018年03月01日 12:23 弁護士ドットコム
医薬品を一定額以上購入すると、税制優遇が受けられる「セルフメディケーション税制」。
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2017年1月1日より開始されたため、今年の確定申告(2017年度所得分)から適用することができます。
確定申告の参考になるよう、セルフメディケーション税制の制度の詳細と、確定申告で適用する方法についてご紹介します。
セルフメディケーション税制とは、従来の医療費控除の特例制度として導入された制度です。
国民が「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」、つまりセルフメディケーションを促進するために導入されました。厚生労働省の資料によると、セルフメディケーションを推進していくことは、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進することはもちろん、医療費の適正化を進めることを目的としています。
これまでの医療費控除は、医療費や医薬品による拠出が年間10万円(または所得金額の5%のいずれか少ない方の金額)を超える部分の金額に応じて、所得控除が受けられるという内容でした。
一方、セルフメディケーション税制は、OTC医薬品といわれる市販薬の購入額が年間1万2000円を超えた部分(上限金額:8万8000円)の金額に応じて、所得控除が受けられます。
ただし、従来の医療費控除との併用はできず、自分でどちらか一方を選択して適用する必要があります。
OTC医薬品とは、医師の処方箋を必要としない、薬局・薬店・ドラックストアなどで販売されている医薬品(市販薬)のことです。
対象製品には、OTC医薬品のマークやセルフメディケーション税制の対象とわかるような共通識別マークが入っています。
2017年12月28日の時点では、1,671品目が対象とされており、品目の一覧は厚生労働省のホームページで確認することができます。
市販薬として有名な「バファリン」や「イブ」なども対象製品です。また、自分だけでなく生計を一にする家族の分も控除の対象となります。
セルフメディケーション税制は、誰でも適用できるわけではなく、「健康の保持増進及び疾病の予防への一定の取組」を行っている居住者が対象となります。具体的には以下のような取組が該当します。
・特定健康診査(メタボ健診)
・予防接種(インフルエンザなどの予防接種)
・定期健康診断・健康診査(人間ドックなど)
・がん検診
確定申告時には、これらを証明する書類をセルフメディケーション税制の明細書と一緒に提出することで、制度の適用を受けることができます。
確定申告書には、「OTC薬品の拠出額から1万2000円を引いた額」を控除額として、医療費控除欄に記入します。
なお、OTC医薬品を購入したレシートを提出する必要はありませんが、確定申告期限等から5年間、税務署から領収書の提示又は提出を求められる場合がありますので、破棄せずに保管しておきましょう。
年間所得300万円の人が、OTC薬品を年間6万円購入した場合に、どれくらい減税になるのかをシミュレートしてみます。
・【控除額】60,000円 - 12,000円 =48,000円。
・【減税額】所得税:48,000円(控除額) × 10%(所得税率) = 4,800円。
住民税:48,000円(控除額) × 10%(住民税率) = 4,800円。
所得税と住民税を合わせて、9,600円おトクになります。
※所得税率は、年間所得に応じて変動します。また、実際の減税額はその他の控除によって異なりますので、参考としてご覧ください。
【監修】
小野 郁子(おの・いくこ)税理士
港区品川駅の女性税理士。女性の税に関する専門家として、女性経営者の法人・個人の税務・確定申告・法人化の相談の他、クラウド会計や国際税務についてもサポート。
事務所名 : 小野郁子税理士事務所
事務所URL: https://sub.shinagawatax.com/
(弁護士ドットコムニュース)