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トヨタ、世界初の『発進ギヤ付きCVT』を含む、新TNGAパワートレーンを発表

2018年03月01日 10:52  AUTOSPORT web

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トヨタが「世界初」とうたう発進用ギヤを採用した新型無段変速機、『Direct Shift-CVT』
トヨタが4代目『プリウス』や『C-HR』以降、順次導入を続けている「いいクルマづくり」の構造改革「Toyota New Global Architecture(TNGA)」のフォーマットに則り、新たに走行性能と高い環境性能の両立を追求した無段変速機(CVT)、6速マニュアルトランスミッション、2リッター直噴エンジン、同2リッター・ハイブリッド(HV)、そして新型4WDシステムを開発、2月26日に発表を行った。

 この一連の新技術TNGAパワートレーン群の中でもとくに注目に値するのは、トヨタが「世界初」とうたう発進用ギヤを採用した新型無段変速機『Direct Shift-CVT』で、トランスミッションの基本性能である伝達効率の向上とエンジン高効率領域の活用、高応答変速を強化するため「機械損失低減」と「ワイドレンジ化」、「変速追従性向上」の3つのテーマに取り組んだという。

 CVT採用車の多くで言われているように、ベルト駆動によるロスの大きいロー側使用時の伝達効率を向上させるため、その領域のみで働くギヤ駆動の機構を追加することで、力強い加速を実現するとともにアクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感を改善。スムースで気持ちの良い発進性能を実現したという。

 ギヤとベルトの切り替えにはAT技術で培った高応答の変速制御技術を使用し、発進用ギヤの採用に合わせてベルトをハイ側に設定。2リッタークラスではトップクラスの水準となる変速比幅7.5を実現している。

 また発進時や低速高負荷時の大きな入力をギヤが受け持つことにより、ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化するなど小型軽量化にも取り組み、慣性重量の削減効果などで変速速度を20%向上させ、従来までのCVTによるネガティブなフィールを軽減させているという。

 その他、6速マニュアルトランスミッションも欧州を中心としたグローバルなニーズに対応すべく新規開発され、従来型で7kgの質量削減と24mmの全長短縮を実現。世界トップレベルのコンパクトさとともに高水準の伝達効率も備え、さらにシフトチェンジ時に自動でエンジン回転を合わせるiMT制御も新たに採用した。

 また『Dynamic Force Engine』と呼ばれる新型2リッター直噴エンジンは、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などのさまざまなエネルギーロスを削減して熱効率を向上。全域でトルクアップを実現したエンジン車用、そして2リッタークラスHV車用ともに、こちらも世界トップレベルの熱効率40%、41%を達成している。

 このエンジンの進化に合わせてトヨタ自慢のHV機構『THSⅡ』も、低速時の電力供給を高めるなどのリファインを受け、リニアで伸びのある加速を実現したという。

 そして、エンジン車に採用する新4輪駆動システム『Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)』は、走行状況に応じてリヤのトルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用。

 前後輪を結ぶプロペラシャフトにこちらも世界初となる「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD走行時には、後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を大幅に低減し、燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用するなど、先進的な機能が採用された。

 またHV用としてリヤに駆動用モーターを備えるE-Fourも進化し、後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させた上で、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採り入れた。

 その上で、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、4WDを統合して制御する「AWD Integrated Management(AIM)」も採用し、ガソリン、HV双方のダイナミックトルクベクタリングAWDに組み込むことで、路面を問わない高い操縦安定性を確保したという。

 トヨタは今春以降、今回発表した新しいパワートレーン搭載車種をグローバルで拡大していくとし、TNGAによって開発したパワートレーンについては2021年までに、エンジン9機種・17バリエーション、トランスミッション4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定している。