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欅坂46 長濱ねる、尾関梨香、小池美波によるユニット曲の意外性 「バスルームトラベル」MV解説

2018年03月01日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 欅坂46の6thシングル『ガラスを割れ!』より、カップリング曲「バスルームトラベル」(TYPE D収録曲)のMVが公開され、話題を集めている。


参考:欅坂46 平手友梨奈、「夜明けの孤独」に秘めた可能性とは? 歴代ソロ曲の傾向から分析


 同曲は、尾関梨香、小池美波、長濱ねるによる新ユニット曲。YouTubeの公式チャンネルではMV公開から3日間で100万回再生を突破するなど、歴代表題曲に匹敵するほどの勢いを見せている。


 話題を呼ぶ理由は、これまでの欅坂46の楽曲の中でも群を抜いて“可愛さ”が強調されている点にある。実際、メンバーからは可愛いと絶賛され、ファンからも「漢字欅史上一番の可愛さ」という評価を受けている。また、漢字欅メンバーの中でも今勢いに乗る3人がユニットを組んだことも注目を集める要因のひとつだろう。長濱は「3人でどんな共通点があるかなって話しあったんですけど、全然なかったんだよね(笑)」(参考:『月刊エンタメ 4月号』)とコメントしていたが、その意外性がファンのツボにハマったという側面もあるのかもしれない。


 同ユニットのセンターは長濱。単体でバラエティ番組にも数多く出演する長濱は、欅坂46がクールなだけでなく、可愛さも備えていることを世間にアピールしているグループの親善大使的存在だ。5thシングル『風に吹かれても』で漢字欅専任となるも、音楽方面では目立った活動がなかっただけに、今回のシングルでその真価を発揮したと言えるだろう。


 平手友梨奈とのてちねるや、ゆいちゃんず(今泉佑唯と小林由依のユニット)との曲はあるが、長濱がユニットとして曲に参加するのは今回が初めて。「不協和音」での<僕は嫌だ!>も可愛く聞こえてしまう個性的な歌声を持つ長濱が、自身の声質に合った可愛い楽曲に出会えたのは大きい。またファッションブランド「earth music&ecology KANKO Label」と欅坂46がコラボした2017年夏プロモーションムービーで見せたような、淡々としたシュールなダンスこそ長濱の可愛さがよく栄えるので、そういう意味でも今回のMVは彼女の持ち味をよく引き出してると言える。


 尾関は5thシングルで初フロントを経験し注目を集めるようになったメンバー。「小関スタイル」というコミカルな走り方や長澤まさみのモノマネで笑いを生んでいた頃とは打って変わり、容姿や雰囲気が大人っぽくなったとファンの間でも評判だ。その覚醒ぶりは「オゼカワ」という言葉まで生み出し、渡邉理佐を虜にしてしまうほど。単独で雑誌の取材を受けるなど、昨年後半での活躍ぶりは目を見張るものがあった。しかし、今でも『欅って、書けない?』(テレビ東京)ではコミカルなキャラで番組を盛り上げるなど、可愛さと面白さを持つメンバーとして重宝されている。可愛くも艶っぽい声をしている小関も、今回のキュートな楽曲にマッチしている。


 そして最近一番勢いに乗っているのが小池。「ガラスを割れ!」でフロントメンバーとなった小池は、ラジオ番組『ザ・ヒットスタジオ』(MBSラジオ)でそのキャラクターがブレイクし、改めてトーク力や可愛くて心地よい声が世間に認知された。今年の初めにラジオ番組で「グループとしては欅坂の印象ってクールとかあるんですけど、その印象って凄い大切だと思うんですけど、ちょっとその印象をぶち壊していきたい。新しいのを見せていきたい」と発言していたが、早くも実現することになった。


 同MVの監督は、『乃木坂46 3rd YEAR BIRTHDAY LIVE』で披露された「Overture」の映像演出や、ゲーム『欅のキセキ』のテレビCMを手掛けた大河臣監督。衣装は坂道やAKBグループの衣装を手掛ける里山拓斗が担当しており、「クールなイメージの欅坂ぽくなくPOPでCUTEな60’sぽい衣装に仕上げました」と自身のTwitterで明かしていた。MVの撮影の時に振付けのTAKAHIROも「”可愛い”に100%振り切って!」と指示するほど、今回の楽曲は“可愛さ”に主軸を置いている。


 しかし長濱は、そんなTAKAHIROのリクエストに対し、なかなか上手くできなかったと語っている(参考:『月刊エンタメ』4月号)。また、尾関はブログで「笑おうと思ってもうまく笑えないんです」と綴っており、小池も「今までこんななんか可愛らしい雰囲気のものを撮ったことがなくって、一番3人が困ってたのは『笑えない』って言ってて……」と、普段の欅坂46のMVとのギャップに苦労したようだ。アイドルでありながら、アイドルらしい楽曲が苦手……欅坂46というグループの特異性が伝わってくるような興味深いエピソードだ。ただ、そんな彼女たちだからこそ、今回の楽曲がファンの目に新鮮に映ったと言えるだろう。


 齋藤冬優花がブログで「欅もこんなに可愛いジャンルでいけるよ!ってとっても伝わりそうだなぁ・・・。よかったよかった」とコメントしていたように、「バスルームトラベル」は欅坂46の振り幅を広げた楽曲とも言える。ある意味カップリング曲はグループのアナザーストーリーとも言えるため、今後も今までとは違うベクトルの楽曲が生み出されていくことで、さらに欅坂46の世界観が拡張されていくのかもしれない。(本 手)