2018年02月28日 10:22 弁護士ドットコム
2か月で無断遅刻を2回したら解雇予告されたーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような相談が寄せられました。
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相談者は試用期間2か月目。飲み会の翌日など、2度にわたり無断遅刻をしてしまい、会社から解雇予告を突きつけられました。
相談者は「不当解雇にあたるのでしょうか」と尋ねていますが、試用期間中の「無断遅刻」を理由として解雇することは問題ないのでしょうか。また、試用期間中でない場合、結論は変わるのでしょうか。上野一成弁護士に聞きました。
「大前提として、労働者は出勤時刻から労務を提供する義務がありますので、無断遅刻が問題視されてしまうことはやむをえません。ですが、これで解雇がすぐできるかというと話は別です」
では、どのような場合に解雇が可能になるのか。
「試用期間中の場合、解約権留保付労働契約と解されています。労働契約の解約権が留保されているということで、本採用された場合と比べて、解雇や本採用拒否は有効となる可能性が高まります。
とはいえ、原則として解雇は客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると評価できないと認められません」
具体的にはどのような点が重要になるのか。
「遅刻が解雇に値するかどうかを判断する際に、最も重視されるのは、改善の見込みの有無です。1回目で厳しく注意をされたのに、全く同じ理由で繰り返したという場合には、改善の見込みがないと言われてしまうおそれがあります。さらに、遅刻の理由も重要になるでしょう。
一度注意をされて反省もしていたが、全く別の理由で、もう一度遅刻をしてしまった、というだけでは、試用期間中にもかかわらずいきなり解雇をするというのはやりすぎ、つまり、社会通念上相当とはいえないと評価されて、解雇は無効となる可能性が高いと思われます」
本採用後はどうなるのか。
「本採用がされた後では、それまで問題なく勤務してきたので、遅刻は突発的な過ちとみられる可能性もあり、解雇が無効となる可能性は高くなりやすいです。
いずれにせよ、遅刻しそうになった場合は、直ちに連絡を入れることをお勧めします」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
上野 一成(うえの・かずなり)弁護士
労働事件では過去に使用者(会社)側を多く取り扱った経験から、使用者側の強い点も弱い点も把握している。平成29年10月には、大手スポーツクラブの支店長が名ばかり管理職にあたり残業代を支払う義務があるとする判決を獲得した。
事務所名:ウカイ&パートナーズ法律事務所
事務所URL:http://www.ukai-law.com/