2018年02月28日 10:22 弁護士ドットコム
「だんなが失踪しました」、「主人が家出しました」。穏やかではない相談が、子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板に寄せられていた(「旦那失踪」 http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2974572 )(「主人の家出」http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2979438)。
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「だんなが失踪しました」という女性の場合、失踪と同時に、夫の女性問題も発覚した。その女性とは「結婚の日取りや婚約指輪交換」もしていたと言うが、夫はこの女性にも行方を告げずに「仕事もほったらかし。会社にはいつか戻ると置き手紙があった」。失踪して10日目の投稿だ。
別の女性は、夫が失踪して1か月。乗っていた車を売却して、その資金300万円を持っての失踪だが、夫は「必ず戻りますので、1人にしてください」とメモを残していた。
もし配偶者が姿を消した場合、どのように対応すれば良いのか(警察への失踪届けなど)。また、もし長期間にわたって、連絡がつかなかった場合には、離婚することは可能なのか。和賀弘恵弁護士に聞いた。
「配偶者が失踪してしまった場合、まずは、警察に失踪届を出しましょう」
そのまま長期間経っても相手と連絡がつかないまま離婚したい場合には、どうしたらいいのか。
「その場合には、話し合いによる『協議離婚』はできませんから、裁判所で離婚を審議する『裁判離婚』となります。本来は、離婚調停を先にしなければ、離婚裁判はできません。しかし、今回のように相手と連絡がとれないような場合には、例外として調停をせずに裁判を提起できます」
相手の連絡先がわからなくても、裁判を進めることができるのか。
「その場合には、『公示送達』という特別の手続きで、訴状を相手に送達することが可能です。
また、裁判ですから、民法に規定されている離婚事由があるかどうかが判断されます。相手と連絡がとれずに、生きているのか死んでいるのかさえ分からず3年以上経っていれば、『配偶者の生死が3年以上明らかでないとき』(民法770条1項3号)に該当し、離婚できます」
では、3年未満の場合には、どうしたらいいのか。
「3年未満でも、裁判での離婚が可能な場合があります。
例えば、1番目のケースのように、他の女性と不貞関係にあった場合には、『配偶者に不貞な行為があったとき』(民法770条1項1号)に該当し、離婚できます。
その他、生活費さえ入れてくれないような場合には、『配偶者から悪意で遺棄されたとき』民法770条1項2号)に該当する可能性があります。また、夫婦関係が破たんし回復できないと判断されれば、『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』(民法770条1項5号)に該当するとして離婚できます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
和賀 弘恵(わが・ひろえ)弁護士
大手食品メーカー、行政職員の経験を経て、目の前のただ1人の人を救う仕事をしたいと思い、弁護士を目指しました。現在は、的確な法的解決のご提案に加えて、カウンセリング機能も果たせる弁護士を目指して奮闘中です。
事務所名:みつ葉法律事務所
事務所URL:http://www.mitsuba-law.net