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EXILE ATSUSHI、ブルーノ・マーズ日本語カバーの意義とは? 音楽ジャーナリスト 高橋芳朗に聞く

2018年02月26日 19:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 EXILE ATSUSHIが、ブルーノ・マーズの代表曲「Just The Way You Are」を世界で初めて日本語詞でカバーする事を発表し、話題となっている。海外留学からの帰国後初のソロシングルとして、4月11日に発売される予定だ。


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 今回のカバーに伴い、EXILE ATSUSHIは、「この名曲を日本語で歌う事ができれば、より多くの日本人の心に想いが伝わり、温かいメッセージが届けられるのではないか」とコメント。一方のブルーノ・マーズも、「僕の曲『Just The Way You Are』をカバーしてくれたことをとても誇りに思うよ」と返答している。


 リアルサウンドでは今回、TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』内「高橋芳朗のミュージックプレゼント」のパーソナリティを務める音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏に、同楽曲をいち早く聴いてもらい、その魅力を語ってもらった。


「歌詞も含めて、原曲の世界観を崩さないように忠実に再現しているカバーで、とても好感が持てます。意味が通じるところは英語詞もそのまま残していて、ブルーノ・マーズのファンが聴いても納得できる仕上がりではないでしょうか。


 ブルーノ・マーズは、第60回グラミー賞で主要3部門含む6冠を獲得したことからも証明されているように、いま、世界最高峰のアーティストのひとりです。“現代のマイケル・ジャクソン”とも言われていますが、彼の音楽的な基盤はマイケルに限らずエルヴィス・プレスリーやジェームス・ブラウンといったさまざまな伝説的アーティストのエッセンスで形成されているようなところがあって、アメリカの音楽エンタテインメントの集大成といえるような凄みがあります。


 R&Bをベースとしつつも、ポップスからロックまで、どんな楽曲でも高いクオリティーでこなせるアーティストで、それが全方位にアピールできる懐の広さにつながっています。特に『Just The Way You Are』は、聴く人の世代や好みを選ばない親しみやすさをもった、ブルーノ・マーズらしさを象徴する一曲です」


 EXILE ATSUSHIもまた、R&Bの影響を色濃く感じさせながらも、広くJ-POPシーンに向けて数々の名曲を世に送り出してきたアーティストだ。


「ブルーノ・マーズは、ジャム&ルイスやベイビーフェイス、あるいはテディー・ライリーといった、80~90年代のR&Bアーティストをリスペクトしていて、先日のグラミー賞授賞式の際も彼らに謝辞を述べていました。EXILEのメンバーの多くも、同時代のR&Bアーティストには大きな影響を受けてきたはずで、ブルーノ・マーズの音楽性やそのスタンスには共感ができる部分が多かったのでは。そういう意味でも、抜群に相性の良いカバーといえそうです」


 また、今回の楽曲がきっかけとなり、洋楽の文化が再び盛り上がることを期待したいと、高橋氏は続ける。


「90年代ぐらいまでの日本のポップスは洋楽の影響を受けながら進化・発展を遂げてきましたが、それ以降は次第に洋楽と乖離していきました。しかし、音楽ストリーミングサービスなどが登場してボーダーレスとなった現在、グローバルな音楽シーンとの同時代性をもったアーティストが評価される傾向は強くなっていくと思います。LDHのアーティストは、先日もEXILE MAKIDAIさんらが所属するPKCZ®が、世界的なラッパーであるスヌープ・ドッグとコラボレーション(編注:オランダの名門レーベル・SPINNIN’/TRAPCITYから「BOW DOWN FT. CRAZYBOY from EXILE TRIBE」で世界デビュー)を実現するなど、世界との接点を意識した活動をしていて、とても頼もしいです。しかも彼らは、その感覚を日本のお茶の間にも届けることができるポジションにいます。今回のEXILE ATSUSHIさんのカバーで、この流れがさらに加速すると、日本の音楽シーンはさらに豊かになっていくのではないでしょうか」(リアルサウンド編集部)