2017年シーズン、全日本ロードレース選手権JSB1000クラス第8戦岡山で、待望の3位表彰台を獲得したモリワキMOTULレーシングの高橋裕紀。チームとしても自身としても、2018年はJSB1000参戦3シーズン目となる。迫る開幕に向け、高橋が2018年シーズンに向けた展望を語った。
高橋は2017年シーズン、第8戦岡山で3位表彰台を獲得した。2014年、2015年と全日本J-GP2で連覇し2015年にはアジアロードレース選手権SS600クラスのタイトルを獲得。2016年にはチームとして9年ぶりに復帰したJSB1000参戦とともに全日本最高峰クラスにステップアップし、初年度はランキング14位となった。2017年に岡山で上った表彰台は、チームとしても自身としても待望のものだっただろう。
「タイヤがどのくらいもつのかわからないまま走っていました」と高橋は岡山での決勝レースを振り返る。タイヤがかなりぎりぎりで、周回数がもう2周あったら表彰台獲得は危ないところだったという。
「タイヤが終わってしまったら仕方ないけど、できるだけの走りはしていました。それでも最後の方はスライドが多くなっていましたね。タイムも1秒落ちたら簡単に追い付かれてしまうので……タイヤがもってよかったです」
モリワキは2017年からタイヤをダンロップからピレリにスイッチした。そのフィーリングについて、高橋はこう語る。
「ほかのメーカーとはタイヤの使い方が違うんですよ。岡山のコースの特性がピレリタイヤに合っていました。ほかのサーキットだとまだ完全にハマってはいないですね」
「2017年は岡山で表彰台をとってそのまま最終戦鈴鹿もその勢いでと思っていましたが、うまくいきませんでした。まだ、一概にどこのサーキットでもいいという状況ではないんです。2018年はいいところ、悪いところの差を埋めていきたいと思っています」
■2018年は勝負の年。肩を手術して脱臼癖を治し開幕戦に備える
高橋はこのオフで、5年前から持っていた肩の脱臼癖を治すための手術をした。レース中、肩にぐらぐらとした感覚を覚えることもあり、バイクを思い切り引っ張りたいときに自分の力で肩が抜けそうになったり、転倒して脱臼し、それを自分ではめることもあったのだという。
「100パーセントの走りができなくなっているのかなと思っていました。手術はこのオフ、いいタイミングでできましたね。2018年は勝負の年だと思っていますから」と高橋は言う。
「バイクにも3カ月、まったく乗っていないんです。先週末(取材日は2月13日)に医者から『小さいバイクなら乗っていい』と許可が出たばかりなんですよ」
高橋には毎朝の日課として、モリワキの駐車場で行っているミニバイクの特訓がある。それも手術から3カ月間できず、お預け状態だった。
「自分の体調回復を開幕戦に標準を合わせています。そこでいいバイクに乗るというのが楽しみなんです。ミニバイクの特訓は、ちょうど明日(取材日の翌日)の朝から再開しようかなというタイミング。3カ月間、もどかしく思うところはありましたよ。肩も使えなかったし、バイクにも乗れなかったですから。そのぶん、開幕戦にこのうっぷんをぶつけたいです」
フィジカルを万全に備える高橋。彼が操る2017年に新型となったホンダCBR1000RRの理解度も、順調に進んでいるという。
「ピレリタイヤで2017年の1年間やったデータがとれて、いいところ、悪いところが両方わかりました。そこを今年、いかにどのように埋めていくかというところですね。タイヤも今年はピレリさんがさらに力を入れてくれるという話なんですよ」
「それから、自分自身のライディングもスキルアップしていきたいです。僕もスキルアップしてセッティングの仕上がったバイクになり、タイヤもいいものがくれば、勝負できると思っています。そういう手ごたえを2017年のうちに得ることができました。精いっぱい走って、2018年は全日本での優勝、そして鈴鹿8耐での優勝目指します」
「今年は勝負の年」と位置づけた。これまで多くの経験を積み様々なレースを戦ってきた高橋が発するその言葉は、ずしりと重い。モリワキと高橋の、頂点に向かう戦いが始まる。