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Airbnb、新サービスで音楽業界にも進出 ユニークなライブのありかたとして普及するか?

2018年02月26日 13:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 宿泊施設、民宿の貸し出しと予約を行えるサイト・Airbnbが音楽業界にも進出。昨年始動した体験型旅行「Airbnb Trips」に続く、新たなサービス「Airbnb Concerts」を開始した。レストラン、オフィス、ワイン倉庫、ツリーハウス、大聖堂などユニークな場所で開催される小規模なライブを探し出すことができるサービスだ。


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 個人宅の空き部屋と、宿泊場所を探している旅行者を結ぶサイト・Airbnb。2008年に創業し、2013年には日本にも進出。以降徐々に認知度を高め、現在は世界191カ国65,000以上の都市で利用され、通算の利用者数は1億5000万人以上という人気サービスである(2018年1月時点)。


 今回発表された新サービス「Airbnb Concerts」の特徴は、会場がどれもとてもユニークだという点である。大きなライブフェスや、有名なコンサート会場で開催される一般的なライブを見つけることはできない。隠れ家的な場所で開かれる秘密のジャズショーや、早朝に朝食を食べながら鑑賞するクラシック演奏、海沿いの別荘でおこなわれる弾き語りなどなど、特別なライブばかり。どのライブも100人以下のキャパで、アーティストと近い距離で音楽を楽しめるようになっているそうだ。


 Airbnbの音楽部門のトップを務めるジェームズ・ベシャラは「アーティストとの交流がこの新たなプラットフォームの魅力である」とBillboardのインタビューで述べた。「大規模なフェスでは10万人の客が、1500m離れた場所からステージを見ようとする。横にある15m程のスクリーンを通して見るだけ。それはアーティストとの交流とは呼べない」と自身もミュージシャンである彼は語っている(参考:Airbnb Expands Music Offering With Launch Of Dedicated Concerts Platform(Billboard))。「Airbnb Concerts」が提供するのはあくまで50~100人規模のライブのみであり、それを変更する予定は無いそうだ。後ろの方で携帯をいじる人が多いようなライブではなく、そこにいる観客全員がアーティストを集中して観ることができる場にしていくという。


 「Airbnb Concerts」は観客だけではなくアーティストにとってもメリットのあるサービスであるとジェームズ・ベシャラは主張する。「Airbnbのコンサートには毎回、市外からの人がよく訪れる傾向にある。10人の異なる街から来てくれた観客の前で演奏をすることは、ローカルなアーティストにとって大きな意味を持つ。金銭的なリスクを負えないためにツアーなどを組めないアーティストにとってAirbnb Concertsは、離れた場所から観客が見に来てくれる“逆ツアー”のようなものになる」とのこと。


 出演するアーティストは「Airbnb」と契約しているプロのアーティストと、駆け出しのローカルな現地のアーティストが入り混じっている。民泊を探す従来の「Airbnb」と同じように、ユーザーはライブを探すことも、ライブの開催者になることもできる。各ブッキングごとに、「Airbnb」は20%の仲介料を徴収するとのこと。


 「(Airbnb Concertsを)誰でもこのようなライブを開催できるプラットフォームにしていく。街のインディーズのアーティストから、週に100回ライブを開催したいプロモーターまで、幅広くサービスを提供する」とジェームズ・ベシャラは意気込んでいる。「一人のミュージシャンとして言えるのは、このサービスはライブ演奏を鑑賞する方法として最もすばらしいものであるということ」と最後に彼はコメント。果たしてこのユニークな「Airbnb Concerts」は、新たなライブやツアーの在り方として普及するのだろうか。


 「Airbnb Concerts」は現在、日本・東京も含む25カ国でサービスを開始している。(小林一真)