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新田真剣佑の暴走が止まらない! 『トドメの接吻』の展開をより熱くする、山崎賢人との緊張感

2018年02月26日 12:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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「あなた逃げてる。私も逃げてた」


 宰子(門脇麦)の説得により、ついに再会し、互いに向き合う旺太郎(山崎賢人)と父・旺(光石研)。12年分の言えなかった想いを、それぞれ吐き出し合うのだ。宰子が大切にしていた光太の靴を手に、「光太が俺たちを会わせてくれたのかも」と旺太郎は口にする。そして父と母・光代(奥貫薫)もまた、涙の再会を果たした。


参考:【画像】『トドメの接吻』で暴走する新田真剣佑


 2月25日に放送された『トドメの接吻』(日本テレビ系)第8話は、堂島家の涙の家族ドラマ的展開もさることながら、暴走した尊氏(新田真剣佑)にも注目が集まった。


 尊氏は、夜の厩舎での一件以来、病院で眠り続ける長谷部(佐野勇斗)のもとへと刺客を送り込んで殺害させ、さらに旺太郎の父の仕業だと見せかける。それでいて、不安を募らせる美尊(新木優子)の側に優しく歩み寄り、「美尊がいてくれれば、僕は何もいらない」などと平然と言ってのけ、瞳を潤ませる。なんたる策士であることか。しかし旺太郎も負けずに応戦し、彼の化けの皮を次々と剥いでみせる。ところが、刑務所での布袋(宮沢氷魚)との面会の場面での彼は、「僕はどこで間違ったんだろう」、そして「美尊を守りたいだけ」なのだと、大粒の涙をボロボロこぼしていた。


 尊氏を演じる新田といえば、旺太郎を演じる山崎と『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017)でも共演し、対立し合う構図を見せた。あちらの作品では肉体を使っての衝突であったが、本作では言わば頭脳戦に心理戦。言葉と視線だけでの彼らの闘いが、回を重ねるごとに激しさを増していく。両者の互いに掴みかかりそうな勢いでの対峙から生まれる緊張感は、ドラマの展開をより熱くする。しかし、涙を流して告白する芝居はさすがである。先述した『ジョジョ』やドラマ『僕たちがやりました』(関西テレビ・フジテレビ系)でも、ある告白をして涙を流すという演技を披露しているが、やはり想いを語るときのあの瞳の力強さには惹きつけられる。


 本作は旺太郎をはじめとする若者たちが中心になって進行していくドラマだが、並木グループの社長秘書・新井(小市慢太郎)や、美尊の母・京子(高橋ひとみ)、旺太郎の母・光代らが登場するとずいぶん雰囲気が変わってくる。そこへ今回は旺太郎の父・旺の登場である。若者たちのフレッシュな演技合戦にベテラン俳優陣が登場することで、その味わいもやはり変わる。さらに今回は家族ドラマ的展開が導入され、いつものスピード感ある展開とは大きく印象が異なった。バラバラであった旺太郎の家族の物語は、今回で回収されたかに思えるが、今後この大人たちがどのような関わり方をするのか気になるところだ。


 尊氏の魔の手に宰子が捕らわれたところで終了した第8話。物語はいよいよ佳境へと突入していく。「美尊を守るためならなんだってやる」と口にしていた尊氏の暴走は、誰にも止められない。


※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記


(折田侑駿)