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『海月姫』内田理央に聞いた、体当たりで“まやや”に挑めた理由  「バレないからこそ、ブッ飛べる」

2018年02月26日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 男子禁制の女子寮“天水館”で暮らす5人のオタク女子“尼~ず”が、女装男子・鯉淵蔵之介(瀬戸康史)と出会ったことを契機に成長していくさまを描いたドラマ『海月姫』(フジテレビ系)。現在、第6話までが放送されており、根暗で引きこもりだった“尼~ず”メンバーは、ファッションブランド「ジェリーフィッシュ」を立ち上げ、天水館でショーまで開催。第5話では、今まで厚い前髪で隠されていた三国志オタク“まやや”の目もお披露目となった。


参考:内田理央が挑む体当たりのまやや姿【写真】


 今回リアルサウンド映画部では、“まやや”役を体当たりで演じてきた内田理央にインタビュー。普段の姿からは想像できないほど振り切った演技や、内田と“まやや”との意外な共通点について聞いてきた。


ーー『海月姫』まやや役に決まったとき、率直にどう思いましたか?


内田理央(以下、内田):原作ファンの方もいらして、1回映画でも実写化されていたので、最初はやっぱりプレッシャーを感じました。自分とは容姿やイメージが違う役だったので、「大丈夫かな?」という不安はすごくありましたね。


ーーわたし、まややが内田さんだと本当に気付かなかったんです。


内田:(笑)。そういう感想をたくさんいただいていて、本当にありがたいです! 最悪自分ってバレないからこそ、ブッ飛べるという気持ちもあります(笑)。


ーーまやや役を重ねてきた現在、初期の心情と変化はありましたか?


内田:今はまだ不安はあるけど、楽しさの方が全然勝っています。スタッフさんもキャストの皆さんも、めちゃめちゃ素敵な人たちで。現場の雰囲気もめちゃめちゃ良いんです。年齢もみんな近くて、仲間というキャラクター上の設定もあって、普段のわたしたちもチームワークよく、笑いの絶えない現場です。あとファンの皆さんも受け入れてくださったのはうれしかったですね。


ーー鯉淵蔵之介役の瀬戸康史さんの女装が本作の見どころの1つですが、女性陣からアドバイスはしているんですか?


内田:瀬戸さんは女性以上にかわいくて、だからもう言うことなしです。立っている姿も普通に待っている姿も内股になっていたりとか、すごく役作りされているんだなと感じました。


ーーばんばさんを演じている松井玲奈さんから、まややとの絶妙なコンビネーションを感じました。


内田:玲奈ちゃんとは撮影以外でもずっと話しています。今日は玲奈ちゃんがかき氷が好きな話をずーっと聞いていました。あと、わたしの弟が鉄道オタクなので、少しだけ鉄道のことに興味があって、玲奈ちゃんに詳しく教えてもらったりもしています。


ーーカメラの回ってない裏で、何か流行っていることがあれば教えてください。


内田:怖い話をよくします(笑)。みんな怖い話が好きなんですけど、瀬戸さんと玲奈ちゃんが怖い話をたくさん持っているので、みんなで聞いて「ほわ~~」ってなっています。天水館での結構暗い夜のシーンで、しかも和室でやっているので、なおさら怖いんです(笑)。


ーーInstagramのストーリーズに「まややは基本叫んでるので、喉が枯れます」と投稿されていましたが、やはり“叫び”には苦労しましたか?


内田:「めっちゃ叫んでる!」みたいなシーンが続くときは、マネージャーさんにのど飴を持っててもらって、舐めていました(笑)。まややは“尼~ず”の中で一番動きがあって感情豊かで、嵐を呼ぶ役柄なので、とにかく騒がしい人にすることを意識しました(笑)。動きを止めずに、声もずっと張っていたりとか。アドリブもたくさん入れました。監督からは大まかな指示があるんですけど、基本的に「自由にしてください」と言われているので、自分の殻を破っていろいろ試そうと思って挑戦しています。


ーーそれって、自宅とかで研究していたり?


内田:それが、家で決めてやると意外とできなくなるので、現場に行って合わせています。最初は家で「ぬお~」って練習していたのですが、疲れちゃって(笑)。今は小声で練習しています。


ーー日常生活に“まやや”が影響している瞬間はありますか?


内田:普通に喋っていても“まやや語”みたいなのが出てきてしまいます(笑)。「御意」とか!(笑)。メールで「やもしれぬ」とかも送ったりします。戦国っぽい言葉が出ちゃうことはありますね。


ーー乗り移ってきちゃってるんですね(笑)。


内田:この間も、雑誌のオシャレな撮影で、壁か何かにぶつかってしまって、そのとき「ぬおっ!」って言ってしまって、「やばい! (まややが)出てる! 出てる!」って言われました(笑)。


ーー内田さんはオタク気質だったり、中学の頃引きこもっていた過去を持っていたりするそうですが、オシャレを通じて成長したという点は『海月姫』のテーマと通じると思うんです。


内田;もともとオシャレには興味があったんです。でも、外に出る機会がないとオシャレする必要がないじゃないですか。家にいるんだったら髪の毛もボサボサでいいし、ジャージでポテチを食べていてもいいし……。でも、この仕事を始めてから、人に見られるようになってすごく変わりました。


ーー演じてみて、内田さんとまややとの間に共通点はありましたか?


内田:オタク特有の劣等感というか「自分なんか……」って思ってしまう感じとか、そう言う点は共通していました。人から「自信を持て!」って言われても、やっぱりそこは変えられなくて、勇気がいることなので……。


ーー内田さんでも劣等感を抱えるんですか!?


内田:わたしは、モデルの仕事もやっているんですけど、最初は劣等感が強すぎて全然うまくできませんでした。今でも変わるのは難しいです。


ーー『海月姫』は、輝ききれていない女の子たちの励みになりますよね。


内田;やっぱり自分自身で一歩進むのって怖いです。でも、今回蔵之介が背中を押してくれて、「着るものひとつで人間これだけ変われるんだよ!」とか「オシャレは強く生きるための武器」の言葉は、本当にその通りだと思って…! まややの格好をしてるときと普段している服装では、性格とかも違うだろうし、今回の作品を通して改めてオシャレって本当にすごいなと思いました。自身がつくことでもあるので、最初は見よう見まねで、嫌でもやってみるという感じです!(取材・文・写真=阿部桜子)