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営業成績優秀者「ごほうび」で海外旅行、給料から引かれる税金が増えてビックリ

2018年02月24日 10:02  弁護士ドットコム

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「ご褒美の海外旅行に行ったら、普段と比べて4~5万円給与が低かったんです。驚きました」。そう話すのは、都内で働く会社員のヒロコさん(女性・仮名)。会社で営業成績が優秀だったため、成績優秀者だけが参加する海外旅行に招待されました。


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その海外旅行は表彰も兼ねており、豪華なホテルに泊まって楽しく終わりました。その翌月、その海外旅行代約25万円が、インセンティブ扱いで普段の給料に加えられていました。しかし、その25万円はそのまま天引きされ、その月の給料の総額に変化はなかったのですが、税金については、「普段の給料+25万円分」を請求されました。その結果、手取りが普段よりも4~5万円少なくなってしまったそうです。


ヒロコさんは「会社からの表彰とはいえ、ほぼ強制参加なんです。それで結局、給与が普段より少ないってなんだか納得いかなくて…」と話しています。今回のヒロコさんのような場合、税金が増えるのは仕方がないのでしょうか。久川秀則税理士に聞きました。


●勤務に関連して支給されるものは、所得税の課税対象

会社から勤務に関連して支給されるものは、金銭に限らず、物品であっても、サービスの提供であっても、通常の給与に加算して、所得税の課税対象になるというのが大原則です。


会社からの海外旅行の提供は、サービスそのものの提供になり、そこから直接的に所得税を源泉徴収することができません。従いまして、通常の金銭で支給される給与等から所得税の源泉徴収を行わざるをえません。


成績優秀者を対象とした場合で考えれば、その本質はインセンティブや報奨であり、金銭で支給される割増ボーナスなどと同一視すべきものと考えられます。


ですから、今回も形式上は、インセンティブとして25万円が支給され、海外旅行に行った結果、その費用の25万円が引かれ、差し引きゼロであるにも関わらず、所得の総額が増えたため、源泉徴収された所得税額が増加したわけです。


ちなみに、今回の海外旅行のようなものを、金銭に置き直した時にいくらで評価するべきかは、『所得税基本通達』(205-9から205-11ほか)に定められています。


●会社のレク旅行であれば課税されないが…

会社が負担した海外旅行などの費用が参加した人の給与として課税されるかどうかは、海外旅行等の理由や内容に応じて、取扱いが分かれます。


会社が福利厚生等の一環で、旅行などをレクリエーション行事として行う場合には、旅行の期間が4泊5日以内で、旅行に参加した人が全体の50%以上であれば、旅行の費用を参加した人の給与として課税しなくても良いこととされています。


しかし、今回の場合は、成績優秀者だけが対象なので、当てはまらないことになるでしょう。


今回のケースも含め、役員など特定の人のみを対象としたものや、接待旅行などの費用は、社会通念上一般に行われているレクリエーション行事の費用には該当しませんので、給与や交際費などで取り扱う必要があります


今採用は売り手市場で、人材を確保するにも難しい時代ですから、使用者側の創意工夫が必要な部分だとは思います。報奨制度、研修制度、社内資格の整備などを含めて、こうした旅行のあり方を整理することも意味があると思います。


【取材協力税理士】


久川 秀則 税理士


東京国税局で源泉所得税審理係長として大企業などの事案を含めて源泉所得税の審査を担当。税務調査では国際税務専門官として数多くの外国銀行・証券会社の税務調査を担当。源泉所得税・非居住者課税・租税条約分野の数少ない税法と実務の両面の専門家税理士としてアドバイスを行っている。


税理士法人原・久川会計事務所(平塚橋事務所)


http://www.cta-tax-pro.com/


(弁護士ドットコムニュース)