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miracle² from ミラクルちゅーんず!、なぜ親子で応援したくなる? サウンドを軸に考察

2018年02月24日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2018年2月26日付週間CDアルバムランキング(2018年02月12日~2018年02月18日)(ORICON NEWS)


 4週前の初登場1位から、4位→4位→8位と10位圏内にとどまっていたWANIMAが遂に12位までダウン。それでも『Everybody!!』はまだまだ売れているし、オリコンのデジタルアルバムランキングでは3週連続の1位を獲得。これはSuchmosの『THE KIDS』に並ぶ記録だそうで、今年を代表する一枚が早くも生まれたと断言してよいでしょう。もっとも、さらに根強いのが安室奈美恵の『Finally』であり、今週も4位というのは本当に驚異的。いつまでトップ10圏内にいるのか、その記録の長さも気になってきました。


(関連:miracle² from ミラクルちゅーんず!が語る、グループ活動で得た成長と初ワンマンへの意気込み


 また今週注目したいのは、2位初登場のmiracle² from ミラクルちゅーんず!のベスト盤。聞きなれない名前かもしれませんが、miracle²(ミラクルミラクル)は昨年4月から始まった特撮ドラマ『アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!』(テレビ東京系)から飛び出したアイドルユニット。敵と戦うため戦士に変身する5人の少女たちが、普段名乗っているのがmiracle²なのですが、実際に見ればダンスのキレは相当なもの。アイドル志望の女子が集められたというよりは、本気で踊りたい少女たちを集め、実際にドラマの中で成長させていく、そして劇中での結束力やパフォーマンス力をライブで体感できるというプロジェクトです。


 今まで特撮ドラマといえば『仮面ライダー』と『スーパー戦隊シリーズ』(ともにテレビ朝日系)。そしてその音楽といえば、人気アーティストの手を借りるのが前者、毎度オリジナル主題歌にこだわるのが後者でした。たとえば三浦大知の「EXCITE」は昨年夏まで放送された『仮面ライダーエグゼイド』の主題歌となり、幼児にも喜ばれる代表曲のひとつに。一方『スーパー戦隊』の主題歌はあくまでヒーローの名前を連呼する応援歌。色とりどりのレンジャーたちが友情を信じて闘い、最後は巨大な合体ロボとなるストーリーが長らく男児たちを熱狂させてきました。


 5人の戦士が共に戦う。設定は『スーパー戦隊』に近い『ミラクルちゅーんず!』ですが、ヒロインたちが小学生~中学生と非常に若いこと(『戦隊』シリーズは基本的に高校生以上)、ダンスや歌をメインとする闘い方、またすべて女児向けに作られたディテールの細かさなど、特撮の歴史の中でもかなり新しいトライアルだと思います。ダンスミュージックを主体とするサウンドも、最先端ではないけれどJ-POPとしてしっかり聴ける、ついつい口ずさみたくなるクオリティ。90年代の小室哲哉を彷彿とさせるビートの感触もあるので、二世代でハマる親子も多いというのは納得。子供が見ているうちに親も興味を持ち、リアルに彼女たちを応援したくなる。そうして幅広いファン層を獲得していったようです。


 ポップス好きはもちろん、アイドル志望やダンサー志望、またドラマ好きやアニメ好きにも訴えかける美味しい要素が満載の『ミラクルちゅーんず!』。スタートしてまだ一年足らずのドラマなので、可能性はまだまだ未知数。さらなる大きなムーブメントになるかもしれません。(石井恵梨子)