政府が進める第4次産業革命では、人工知能の活用が期待されている。人手不足の解決になると考える一方で、自分の仕事に変化が出ることを懸念する人もいるようだ。
連合が2月16日に発表した「AIが職場にもたらす影響に関する調査」の結果によると、「AIの普及に期待している」と答えた人は54.5%と約半数だった。また、「AIの導入で賃金が増える」と予想する人はわずか1割だった。
調査は昨年12月15日~19日の間、全国の20歳以上の働く男女を対象に実施。1000人から回答を得た。
「情報通信業」「飲食・宿泊業」ではAI導入に期待
「AIの普及に期待する」の回答を業種別で見ると、「金融・保険業」(70.6%)で高かった。「職場でAIの導入が進んだ場合、自分の仕事は楽になるか」を聞くと、「楽になる」と答えた人は43.5%。業種別で見ると、「情報通信業」(54.0%)と「飲食店・宿泊業」(50.0%)では回答率が5割を超えた。しかし「変わらない」は49.5%とほぼ半数を占める。業種別では「卸売・小売業」(60.7%)や「不動産業」(58.8%)が高い。
「AI導入によって労働時間が減る」と答えた人は26.5%だったが、AIで自分の仕事が「楽になる」という人が43.5%いた。一方で、「賃金が増える」と予想する人は9.5%にとどまり、「変わらない」が66.7%だった。
約4割が「AIを使って仕事をしたい」
「AI導入によって勤務先が発展するか」を質問すると、「維持・成長・発展が見込める」と答えた人の割合は60.8%に上った。業種別では、「運輸業」(31.7%)、「製造業」(31.2%)、「公務等」(31.1%)でそう思う人が多い。
「職場にAIが導入されたら使って仕事をしたいか」の問いには、「したい」が42.6%で、「したくない」の27.3%を上回る。
「AIに知識を発揮することを求められたら、現在のAIに関する知識やスキルで対応できるか」を聞くと、「できると思う」は32.7%。対して「できないと思う」が67.3%だった。約7割がAI導入後の活用に不安を覚えている。
AIに関するスキルアップ訓練を受ける場所としては、「国や地方自治体などが設置する公的な教育機関」(27.4%)、「専門学校や職業能力学校」(20.5%)が多かった。