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EXILE THE SECONDは後進グループの目指すべき存在へ EXILE TRIBEでの位置づけを解説

2018年02月22日 16:12  リアルサウンド

リアルサウンド

 2018年、約1年半の沈黙を破ってEXILEが再始動するに伴い、EXILE TRIBEの各グループ・メンバーの活動もさらに勢いを増している。EXILEは6カ月連続で第1金曜日に新曲を配信する『EXILE FRIDAY』を開催中で、海外留学から帰国したEXILE ATSUSHIはブルーノ・マーズの楽曲「Just The Way You Are」のカバーを4月11日にリリースすることを発表するなど、話題に事欠かない日々が続いているが、現在のEXILE TRIBEの全体像を捉える上でその活動に注目したいのは、EXILE THE SECONDではないだろうか。本日2月22日は、日本記念日協会が「EXILE THE SECOND DAY」と定める記念日ということもあり、改めて同グループの位置付けを紐解いてみたい。


参考:EXILE THE SECONDはブラックカルチャーをどうエンタメ化した? DJ YANATAKEのライブ評


■「Jr.EXILE」世代にとっての規範に


 EXILE THE SECONDは、橘ケンチ、黒木啓司、EXILE TETSUYA、EXILE NESMITH、EXILE SHOKICHI、EXILE AKIRAの6名によるダンス&ボーカルユニットで、現在のEXILE TRIBEの中核となるグループだ。EXILEには現在、15人のメンバーがシンガーもしくはパフォーマーとして所属しており、ソロとして活動するEXILE ATSUSHIとEXILE TAKAHIROを除いたメンバーは全員、ほかのグループでも活動している。たとえば、三代目 J Soul BrothersからはNAOTOと小林直己、岩田剛典が、GENERATIONSからは白濱亜嵐と関口メンディーが、FANTASTICSからは世界と佐藤大樹が、それぞれ兼任するかたちで、現在のEXILEを構成しているのである。


 そんな中、EXILE THE SECONDだけはメンバー全員がEXILEに所属しており、それぞれが責任のある立場として自身のプロジェクトにも力を入れている。リーダーの橘ケンチは、LDH ASIAのスタッフとしてアジア進出を目指し、TETSUYAはLDH kitchenで「AMAZING COFFEE」というコーヒーショップのプロデュースも手掛けている。AKIRAは総合エンタテインメント・スクール「EXPG STUDIO」で後進の育成に携わり、黒木啓司は「THE NINE WORLDS」というプロジェクトで地元・九州を盛り上げている。EXILE THE SECONDの音楽性を決定付けているEXILE SHOKICHIは、ソロアーティストとしても充実した作品群を発表し、EXILE NESMITHは無料デジタル放送「TS ONE」にてラジオ番組『EXILE THE SECOND THE ON ~音~』のメインパーソナリティーを務めている。メンバーそれぞれが得意分野で、新たな道を切り拓いているのだ。ここに、EXILE THE SECONDというグループならではの特異なスタンスを垣間見ることができる。


 もともとEXILEのメンバーが自ら立ち上げた企業であるLDHにおいて、アーティストの自立的な活動は重要視されている。現在、LDHが飲食やアパレルといった多方面の業界に進出しているのは、個々のアーティストが抱いている夢を尊重し、それを企業として後押しして実現してきた結果でもある。つまり現在、EXILE THE SECONDのメンバーが個々の活動にも力を入れているのは、GENERATIONSやTHE RAMPAGE、あるいはFANTASTICSといった「Jr.EXILE」世代にとっての規範でもあり、目指すべきLDHアーティストのあり方でもあるのだ。


 そんなEXILE THE SECONDは、音楽的にもパフォーマンス的にも新たな挑戦を続け、すでに確固たる路線を確立している。本日2月22日にリリースされた『アカシア』は、約1年ぶりのフルアルバム『Highway Star』(3月28日発売)からの先行シングルで、現在のEXILE THE SECONDのモードが浮き彫りになった快作だ。“Funky But Sexy”を音楽的テーマとして掲げるEXILE THE SECONDは、EXILE TRIBEの中で最もアダルトなアプローチを得意としており、そのサウンドは最新のUSのトレンドを加味しながらも、常にエキゾチックな香りをまとっている。


■世界基準でのパフォーマンス


 その傾向は、ライブパフォーマンスでより顕著だ。2016年から2017年にかけて行われたツアー「WILD WILD WARRIORS」では、自らのパフォーマンスの間にファンクやソウルの名曲を織り交えることで、ブラックミュージックのエッセンスを意識的に取り込んでいたほか、ジャズ風にアレンジされた「Choo Choo TRAIN」のセルフカバーを披露するなど、渋めの演出が目立った。現在開催中の『ROUTE 6・6』ではさらにその方向性を推し進め、80~90年代のディスコサウンドを現代的にアップデートしたようなファンキーなパフォーマンスを披露している。先日、第60回グラミー賞でブルーノ・マーズがノミネートされていた6部門全てを制覇する快挙を遂げ、ブラック・ミュージックがポップミュージックにおける主流となりつつあることを印象付けたが、EXILE THE SECONDの音楽性はそうした流れとも重なり、改めて同グループが世界基準でのパフォーマンスを目指していることが伺える。


 たとえばEXILEが、老若男女が楽しめる王道のダンス&ボーカルユニットで、EXILE TRIBEの精鋭たちによるオールスターだとすれば、EXILE THE SECONDは、その中でも特に濃密でコク深い部分を抽出した、大人の音楽ファンこそ楽しめる通好みのグループだと言えるだろう。EXILE TRIBEのファンはもちろんのこと、洋楽好きやクラブミュージック好きにも、彼らの創造するエンタテインメントは楽しめるはずだ。(松田広宣)