2018年02月22日 15:23 弁護士ドットコム
フリーランスや経営者の女性のうち、59%が産後2か月以内に仕事を再開していることが民間の調査で明らかになった。女性経営者、弁護士などでつくる市民団体「雇用関係によらない働き方と子育て研究会」が2月22日、記者会見を開き、メンバーたちが、産休中の所得補償となる出産手当金の支給と産休中の社会保険料の免除を訴えた。
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被雇用者(会社員など)を対象にした労働基準法は、産前産後休業(産前6週間・産後8週間)を定めている。しかし、フリーランスや経営者は労働基準法の対象外だ。現在、フリーランスや経営者には、妊娠、出産による休業中の所得補償(出産手当金、育児休業給付金)はなく、休業中の社会保険料の免除も認められていない。
調査は、同研究会が、20~50歳までの働きながら妊娠、出産、育児を経験したフリーランスや経営者を対象に行った(有効回答数:353)。
アンケートでは、59%の女性が「2か月(産後8週)」以内に仕事を復帰していることがわかった。さらに「1か月未満」と答えた人は44.8%にのぼる。同研究会のメンバーで、「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」代表理事の平田麻莉さんは記者会見で、「早すぎる復帰は、母体保護の観点からも問題がある」と指摘した。
平田さんは、「妊娠、出産、子育てにともなうセーフティネットは、働き方にかかわらず、誰もが利用できる公平な制度であって欲しい」として、出産にともなう休業期間中の所得補償である「出産手当金」(一定以上の保険料を納付している女性のみ)と産休中の社会保険料の免除を訴えた。ただし、育児休業中の補償は求めていない。
NPO 法人「マタハラ Net」創設者で、「natural rights」代表の小酒部さやかさんは「母体保護の面からも出産手当金、社会保険料の免除が必要です。収入もない状況で、社会保険料だけが出て行くのは辛い。次の妊娠、出産を止める理由にもなっています」と訴えた。
塚本健夫弁護士は、「年金改革法によって、2019年の4月からはフリーランスも産前産後の期間中、国民年金は免除されることになった。ただ、健康保険については免除されていない。引き続き、制度改正を求めていく」と述べた。
あわせて塚本弁護士は、女性弁護士が置かれた状況についても「一般のフリーランスと同様です」と問題点を指摘した。
「事務所によっては産休中の補償があるところもあるようですが、多くの女性弁護士には出産手当金もなく、保険料の免除もありません。産休中は弁護士会費の負担を免除されるようになりましたが、育休中は免除されません。多くは産休のみで復職しています」(塚本弁護士)
(弁護士ドットコムニュース)