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広瀬アリス&水上京香の恋の行く末は? 『わろてんか』朝ドラ定番“恋パート”を考察

2018年02月22日 14:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 NHKの連続テレビ小説『わろてんか』第21週のタイトルは「ちっちゃな恋の物語」。これまでも数々の朝ドラで物語を彩ってきた“恋パート”は、『わろてんか』にも何度も盛り込まれている。その中でも、現在進行形で描かれているのが、漫才コンビ「ミス・リリコ アンド・シロー」ことリリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)、そして北村家の長男・隼也(成田凌)と英語教師の加納つばき(水上京香)の“恋の行く末”だ。


参考:水上京香、『わろてんか』3人目のヒロインへ 成田凌との恋路に注目!


 リリコと四郎は、結成当初、ぶつかり合いばかりだった。互いに実力を認め、漫才を続けたいと思っているものの、相手に素直になれずにいた。様々な困難を乗り越え、漫才が軌道に乗った2人に恋の転機が訪れたのは、リリコが漫才のダメ出しをしている最中に四郎が突然倒れてしまった時のこと。リリコに介抱してもらったお礼にと四郎はスカーフを贈り、リリコはそれをてん(葵わかな)に報告する。リリコは四郎への気持ちを一度は「ぬくい気持ち」と説明するが、「ちゃうちゃう!」と咄嗟に否定。てんは、『ゴンドラの唄』の一節、「いのち短し 恋せよ乙女」と口ずさみ、それは恋だと諭す。


 一方、隼也はマーチン・ショウ公演の代理人の通訳だったつばきと出会う。2人はすぐさま意気投合。隼也はつばきに「僕が必ず日本にマーチン・ショウを呼んでみせます」と躍起になっていくが、隼也が会った代理人が全くの別人であることが判明し、詐欺被害に遭っていたことが発覚する。張り切る隼也に、リリコは「恋と仕事はいっしょくたにしたらアカンて。ホンマはあのお嬢さんにいいとこみせたかったんちゃうか?」と声をかけていたが、それは間違いなかっただろう。詐欺事件後、北村笑店に謝罪に訪れたつばきとの再会を果たした2人の仲は急接近していくが、つばきに「許嫁がいる」と隼也は告げられる。父・藤吉(松坂桃李)とてんのかつての状況と重なる状況だ。


 リリコと四郎は、2人で苦しいときを一緒に乗り越え、喜びを共感しあうなど、時間の積み重ねにより、互いの大切さを噛み締めてきた間柄である反面、隼也とつばきの恋は、どちらかというと“一目惚れ”に近い。いまだに互いに素直になりきれずにいるリリコと四郎は、四郎がスカーフをあげる、食事に誘うといった会話のやりとりも、リリコが愛想なくツッコミを入れ、常に漫才を続けているような雰囲気だ。だが、海外へ行っていた経験も持ち、ショウに対しての思い入れが強いという共通点を持つ隼也とつばきの恋模様は、会話の途中に目が合うシーンひとつを取っても、ロマンチックに描かれている。こうして2組の恋の対比を同時に描く構成によって、視聴者をより惹きつける効果がもたらされているように感じる。


 これまで、『わろてんか』、『ひよっこ』、『べっぴんさん』、『とと姉ちゃん』、『あさが来た』……など、数々の歴代の作品で描かれてきた、“恋の展開”は物語を大きく動かす要素であり、主人公の成長に深く関わる部分だった。また、視聴者にとって、主人公が大きな壁にぶつかってもなお立ち上がっていく姿に勇気をもらい、別れや再会のシーンでは感動させられると同様に、ドラマの純粋な楽しみと喜びを与えてくれる要素でもある。前作の『ひよっこ』では、たくさんの想いが結びついていく展開に、幸せな気持ちになった人も多いのではないだろうか。


 『わろてんか』は、笑いをビジネスにした日本で初めての女性・てんの一代記を描く“愛と笑い”の物語とされている。本作の2本軸のひとつである“愛”として描かれる2組の恋の行方を楽しむと同時に、4人のこれからの成長を見守っていきたい。(大和田茉椰)