2018年シーズンのスーパーバイク世界選手権(SBK)がまもなく幕を開ける。SBKとは、MotoGPと並ぶ世界選手権シリーズのひとつ。MotoGPがレース専用マシンを使用するのに対し、SBKは市販されているバイクを使用して行う二輪レースの最高峰だ。
SBKは、カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのジョナサン・レイが2015年から2017年までSBK3連覇。2017年は26レース中16勝という強さで連覇を達成した。チームメイトであるトム・サイクスも2013年にカワサキでタイトルを獲得しており、近年はカワサキがSBKを席巻してきたと言っていいだろう。
しかし、SBKをプロモートするドルナにより2018年はレギュレーションが変更。エンジンの回転数に制限が加えられた。これは4気筒マシンの回転数を14700回転とするものだったが、カワサキの4気筒マシンのみ600回転少ない、14100回転に制限されることになったのだ。
さらに、結果によってはシーズン中にさらに250回転引き下げられることもあるという。カワサキの2017年型マシンは、15200回転。昨年型よりも1100回転少ないなかでの戦いを強いられることになる。
そんなカワサキの対抗馬となるのは、Aruba.it(アルバ.イット)レーシング-ドゥカティ。2018年も引き続き、チャズ・デイビスとマルコ・メランドリの顔ぶれで参戦となる。2017年は全26レースというレース数のなかで、ウイナーとなったのは4人。カワサキのレイ、サイクスと、ドゥカティのデイビス、メランドリだ。2017年は主にレイとデイビスが勝ち星を分け合った。
一方で、注目したいのがヤマハのワークスチーム、パタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチームだろう。ライダーラインアップは2017年に引き続きアレックス・ロウズとマイケル・ファン・デル・マークだ。ヤマハは2011年をもって活動を休止していたSBKへのワークス体制での参戦を、2016年に復活させた。2018年でSBK復帰3年目。マシンの熟成という観点からいっても、そろそろカワサキ、ドゥカティの2強に割って入りたい。
さらに、今年はライダーラインアップに元MotoGPライダーのロリス・バス、2016年までMotoGPで戦っていたヨニー・エルナンデスが加わった。バズはBMWから2014年ぶりのSBK参戦、エルナンデスはカワサキからSBKに初エントリー。元MotoGPライダーのふたりがSBKで見せる戦いも気になるところ。
2018年のレースカレンダーは全13戦であることに変わりはないが、開催地が変更となった。2017年に開催されたラウシッツリンクのドイツラウンドと、ヘレスのスペインラウンドがなくなり、その代わり第7戦にブルノのチェコラウンド、第12戦にアルゼンチンのエル・ビリクムラウンドが追加となっている。
開幕直前の2月19~20日に行われたSBK公式テストでは、レイが2日間総合でトップに立ち、2番手にはサイクスがつけた。2018年も変わらずに速さを見せているレイ、そしてカワサキの連覇をだれが止めるのか、これが最大の注目点だと言えるだろう。
SBKに併催されるスーパースポーツ世界選手権(WSS)は、日本人ライダーとして引き続き大久保光がフルエントリーする。大久保は2018年、チームを移籍。トップチームのひとつであるカワサキ・プセッティ・レーシングからWSSを戦うことになった。また、どのラウンドを戦うのかは不明だが、日本国内で開催されたピレリカップ600チャレンジシリーズの2017年チャンピオン、長尾健吾のWSSワイルドカード参戦も決定している。
SBK第1戦はオーストラリアのフィリップアイランドで、2月23~25日に開催される。