トップへ

内田彩が見せた、ライブクリエイターとしての新たな一面 『VALENTINE’S ♡ LIVE』レポート

2018年02月22日 11:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 内田彩が2月4日、東京・豊洲PITにてワンマンライブ『Aya Uchida VALENTINE’S ♡ LIVE ~Song for you~』を開催した。


参考:内田彩、エンターテイナーとしての多面性  幕張メッセワンマンで見せた”アップデート”した姿


 内田は2016年2月、“恋愛”や“バレンタイン”をテーマとしたコンセプトアルバム『Sweet Tears』と『Bitter Kiss』をリリース。同年5月には、同作を携えたコンセプトライブも開催している。今回のライブは、“恋愛”という共通項を伴いながらも、そのパフォーマンスは2年前と少し毛色の違うように思えた。その理由に、3rdアルバム『ICECREAM GIRL』リリースによる楽曲の充実や、エンターテイナーとしての“アップデート”によるライブ演出の多様化などが挙げられる。本稿では、そんな内田の成長を感じることができた同ライブの夜公演を振り返りたい。


 ライブ開始後、赤いリボンとチョコレートをモチーフとしたドレスに身を包んだ内田は、冒頭から“hisakuniランド”を開園。「with you」「Floating Heart」「Yellow Sweet」と、音楽クリエイター・hisakuniによるフューチャーベース楽曲を立て続けに披露した。


 「愛や恋の形にも色々あるように、バレンタインにちなんだ様々な曲をお届けしたいと思います!」と、今回のライブの所信表明ともいえるMCを挟み披露された「afraid…」では、一気にロックサウンドに転換。続く「MELODY」や「ONE WAY」とあわせ、内田曰く「チョコがドロドロと溶けるよう」な“恋愛の暗い側面”も見せることができる、彼女の音楽作品の多彩さと表現力の豊かさを改めて思い知らされた。


 「キックとパンチどっちがいい?」では、ライブ前日の節分にあわせて豆まきを開始。また、ライブ後半で披露される「ドーナツ」では、チョコレート入りのカプセルをフロアに投擲するなど、当日の内田は終始笑いながらフロアにモノを投げ入れまくっていた。本編終盤には、Ben Folds Fiveライクな「Holiday」でフロアを盛り上げ、“等身大の愛”を歌う「Close to you」へ。シックな豊洲の夜に似合うアーバンな音色に、ファンは安らぎを覚えたことだろう。最後に”ファンへのラブソング”として「Ordinary」が歌われ、本編は幕を下ろした。


 さて、この日の終わりに内田から「不安なことも多いなか、みんなが笑顔を向けてくれるので、新しいことにも挑戦できるのかなと思います。ライブ中のトークコーナーを発案したり、アンコールでビデオを流すなど、幕張でのライブを通して、新たなことにチャレンジしたいと思うようになりました。本当にみんなのおかげです」と語られたように、今回のライブにはファンを喜ばせる様々な趣向が施されていた。


 そんな本編中盤のトークコーナーでは、スタッフからのメッセージボックスが登場。「打ち上げでスタッフのところまで移動して、気さくに話しかけてくれる」といった内田のエピソードが披露された。またアンコールでは、内田によるバレンタインケーキのデコレーション映像の上映。ケーキ完成後には「このケーキよりも甘くて楽しいアンコールが待ってるよ!」と笑顔でコメントを残した。そんなアンコールはダンサブルなバンドアレンジの「What you want!」でスタート。ハッピーバイブス全開でフロアにマイクを向ける彼女の生き生きした姿を見ることができた。そして、キュートなロックナンバー「ドーナツ」と「Breezin’」を満面の笑みで披露し、この日のステージを大成功に収めた。


 さらに昼の部ではセットリストへの言及も。今回の公演では「アップルミント」などの代表曲を割愛し、“恋愛”に焦点をあてた楽曲を中心に披露する挑戦的な選曲がなされていたからだ。そこで筆者が思い出したのが、昨年9月の『「ICECREAM GIRL」最速先行試聴イベント』内で制作スタッフが語った、「デビューアルバム『アップルミント』の制作時より、どの楽曲にもシングルカットできるクオリティを担保させている」という話だ。以前の武道館ライブの際には、アンコール抜きで当時発表されていた全36曲を平等な形で披露したこともあるように、アーティストとスタッフが全ての楽曲を“名曲”と確信していることも、今回のライブで見せた挑戦とその成功における所以なのだろう。新たに発表された2ndシングル『So Happy』のリリースや6月からの全国ツアー開催も、その所産なのではないだろうか。


 “恋愛”をテーマとした楽曲を軸にしたセットリスト、トーク・動画パートの設置など、内田のライブクリエイターとしての挑戦的な一面が見えた今回のライブ。そんな彼女のチャレンジ精神を感じられ、次なる全国ツアーに向けて新たな期待を抱くこともできた。来る夏のステージで、“So Happy”な彼女の笑顔を見られる日が本当に待ち遠しい。(青木皓太)