受動喫煙対策が進む中、北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市)は昨年10月1日、キャンパス内に18か所あった喫煙所を全て撤去し、敷地内全面禁煙に踏み切った。さらに喫煙してから45分間は敷地内への立ち入りを禁じるという。
「45分経ったのか確認するのは難しい。喫煙者個人の良識に委ねている」
なぜ喫煙後しばらくはキャンパスに入れないのか。同大の担当者は、キャリコネニュースに対して、次のように話す。
「昨年3月に専門家を呼んでセミナーを開いたとき、喫煙してから45分間は肺から有害物質が出るという説明がありました。そこで45分経過するまでは本学への立ち入りを禁止することにしました。ただ、本当に時間が経ったかどうか確認するのは難しく、喫煙者個人の良識に委ねている状態です」
学生なら授業の合間のキャンパスの外に出て吸えば良さそうだが、喫煙者の職員はかなりの我慢を強いられそうだ。
「職員は昼休みに吸うか、家に帰ってから吸うしかありません。来客の方も例外ではなく、全面禁煙に協力していただいています。全面禁煙については、開始半年前の昨年4月に学長から宣言が出され、周知されていましたから、批判は出ていません」
「このくらいするのが普通って流れになってほしいな」
たばこには喫煙者が直接吸い込む「主流煙」とたばこの先端から立ち上る「副流煙」がある。現在、主に問題になっているのは「副流煙」を吸い込んでしまうタイプの被害だ。
しかし最近では、喫煙者の呼気に含まれている有害物質も問題になっている。「日テレNEWS24」(日本テレビ)が昨年紹介した産業医科大学・大和浩教授の見解によると、たばこの成分は喫煙後も20~30分は呼気から出続けているという。
同番組に出演した諏訪中央病院の鎌田實・名誉院長も、「たばこを吸い終わっても30分は有害な成分を出し続けているわけですから、家族に近づくことは避けるべき」と注意を喚起していた。北陸先端大の受動喫煙対策は、呼気からの有害物質による被害も防ぐ、かなり先端的な対策だと言えるだろう。
同大の徹底した受動喫煙対策はネットでも話題に。「吸い終わった後も臭いからな」「このくらいするのが普通って流れになってほしいな」と賛成する声が多数上がっていた。
一方で、「副流煙などに比べて数値的にどれくらいのリスクがあるんだろう?」「立入禁止処分をするに値するエビデンスなの?」という声も上がっていた。呼気煙に含まれた有害物質にどの程度のリスクがあるのか、本当に45分間も有害な成分が出続けるのか、厳密な検証が必要、ということのようだ。
一部には「喫煙後の排出物のリスクは自動車の排ガスやら粉塵のリスクに及ばないだろう」「そのうち車の進入とかも禁止されるのかな?」と反発する人もいた。