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ヒュー・ジャックマンが語る、俳優の夢を追い続けられた理由 「僕は自分と5年契約を結んできた」

2018年02月20日 13:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2月16日に公開された『グレイテスト・ショーマン』は、実在した興行師P・T・バーナムを題材にしたオリジナル・ミュージカル映画。周囲から反対の声を受けながらも型破りなショーをヒットさせていく主人公バーナムの姿を描いた本作は、『レ・ミゼラブル』で美声を披露したヒュー・ジャックマンをはじめ、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、ゼンデイヤ、 キアラ・セトルらがキャストに名を連ね、『ラ・ラ・ランド』のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが楽曲を手掛けた。


参考:映画『グレイテスト・ショーマン』【場面写真】


 今回リアルサウンド映画部では、本作でバーナムを演じたジャックマンにインタビュー。長年の夢だったというオリジナル・ミュージカル作品への思いや、バーナムとジャックマンに通じる夢を追い続けられた理由を聞いてきた。


■「オリジナル・ミュージカル映画が本当に夢だったんだ」


ーー2月13日に行われた特別試写会では、最前列で日本のファンとともに本作を観たそうですね。


ヒュー・ジャックマン(以下、ジャックマン):ミュージカル映画は日本の人たちが特に好きなジャンルだと思う。試写会では、ちょっとの間だったけれど、ファンの方たちと時間を共有できて嬉しかったよ!


ーーオリジナル・ミュージカル映画は長年の夢だったと聞きました。


ジャックマン:そうなんだ。オリジナル・ミュージカル映画が本当に夢だった。完成するまで8年間もかかったよ。とにかく色々な人たちに感謝をしているし、様々な要素が集結しないとできなかったものだと思っている。オリジナル・ミュージカル映画はとてもリスクのある作品だから、スタジオの勇気があってこそだったね。今回メガホンを取ったマイケル・グレイシーは長編映画監督は初めてだったし、音楽を手掛けたベンジ・パセックとジャスティン・ポールも、『ラ・ラ・ランド』がヒットする前で、まだ無名だったんだ。レティ・ルッツ役のキアラ・セトルも初の映画出演だった。公開された今、たくさんの人がこの作品に反応してくれていることが本当に幸せだよ。


ーーキアラ・セトルにインタビューした際、彼女は「ヒューのおかげで歌えた」と感謝を述べていました。あなたは主役として、ミュージカル映画初となる彼女をサポートしたのでしょうか?


ジャックマン:キアラは僕のおかげだって言っているけど、実は逆で、僕がものすごく多くのことを彼女から学んだんだ。この映画のハートや魂の部分は、キアラが担っていると僕は思っている。ワークショップで彼女に初めて会ったときから、監督に「絶対、この映画に彼女を入れてくれ」と言い続けたんだよ。彼女は自分らしさとか正直さ、素直さを体現している。彼女は来日記者会見の際も、直接的な質問をする記者に対して、正直に答えていた。僕は100回以上会見を経験してきたけど、このような体験は初めてだった。実はキアラは、こうやってたくさんの人から注目されるよりも、スタジオでレコーディングしている方が好きな人なんだ。それでも自分らしさを出していて、僕にとっては本当にインスピレーションをくれる人だね。


ーーメイキング映像で、撮影現場でのパフォーマンスを見て、涙するあなたの姿を見ました。実際に見た現場の雰囲気を教えてください。


ジャックマン:最高だった……。役者にとって撮影1日目は、真のオーディションの場でもあるんだ。特にキアラは、キャスティングされてから実際に撮影に入るまで9か月あったんだけど、その間ずっと恐怖を抱えていた。僕たちみんな、その気持ちがすごくわかるんだ。しかもそれから、一生懸命演じることを維持していかなければならない。ワールドカップの最終戦で、最後までベストを尽くさなければいけない気持ちと似ているかもね(笑)。そんな状況のはずなのに、実際行われたパフォーマンスでは、「わ~!」っと心から溢れる何かを感じた。思わず泣いてしまったよ。


ーーエフロンとのバーのシーン「The Other Side」も圧巻でした!


ジャックマン:あのシーンね! 僕の妻も、お気に入りのシーンだと言っていたよ。撮影には3日かかった。さらにリハーサルには8週間を費やしたよ。グラスを持ち替えながら帽子を受け取ったりと非常に難しかった。簡単そうに見えるだろうけど、すっごく苦労したんだよ。あと、一番ダンスが大変だったのは「Come Alive」だね。


■「演劇が自分に一番合っていると感じた」


ーー夢を叶えるために奮闘するバーナムの姿と、大学時代に演劇学科で演技に目覚めて、ここまで夢を追い続けたあなたの姿が重なりました。挫折する瞬間もあったと思いますが、どうやって乗り越えてきたのでしょう。


ジャックマン:僕は自分と5年契約を結んできた。とにかく演技が大好きで、現場にいること、舞台に立つこと、そして他の俳優と一緒にいる瞬間がすごく好きなんだ。「舞台の裏に自分がいるべきだ」という気持ちが大切かな。大学時代、他の学科にも行ったことがあったのだけれど、演劇が自分に一番合っていると感じたよ。だから、まず自分の家賃が払えるようになるかを目標に俳優を始めて、5年間やってみて無理だったら、他の仕事に移ろうと思っていた。もちろんそれから色んな間違いをしたし、不安も抱えたのだけれど、俳優を職業としてずっとやれるかだなんて今でも思っていないんだ。実は俳優の98パーセントは失業している。だから仕事があるだけでも幸運なんだよ。僕はもっと出ているけど、3回映画に出られたら成功していると言われている。だからと言って、仕事が永遠に続く保証はない。僕を起用してくれた人たちに、感謝の気持ちでいっぱいだよ。


ーー昨年『LOGAN/ローガン』で17年間務めたウルヴァリン役に別れを告げたあなたにとって本作は、俳優としての新たな第1歩となったと思います。あなたの次なる夢を教えてください。


ジャックマン:『グレイテスト・ショーマン』の次に撮ったのが、ジェイソン・ライトマン監督の『The Front Runner(原題)』で政界を描いた喜劇なんだ。『プリズナーズ』のような人間ドラマもまたやりたいし、オリジナルのミュージカルもやりたいね。今回8年かかったから、実現するなら早く始めなきゃいけないけど(笑)。あと、舞台もやってみたいと思ってる。僕は常に違うことにチャレンジし続けることを夢見ているよ。(阿部桜子)