トップへ

羽生、小平「金メダル」の快挙…もらえる報奨金、課税される部分も

2018年02月20日 10:02  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

開催中の平昌五輪で、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手と、スピードスケート女子500メートルの小平奈緒選手が金メダルを獲得して、大きな話題になった。


【関連記事:「カルディ」コーヒー「タダ飲み」目当て、買い物する気ゼロ…法的に問題ない?】


2月19日夜の段階で、日本人選手が獲得したメダルは10個(金2個、銀5個、銅3個)で、過去最多だった1998年の長野五輪の10個に並んだ。


今後メダリストたちには、報奨金が贈られることになるのだが、気になるのはその金額だ。日本オリンピック委員会(JOC)からは、金500万円、銀200万円、銅100万円の報奨金が贈られる。


これに加えて、競技団体からの報奨金もある。例えば、日本スケート連盟は、金500万円、銀200万円、銅100万円と定めている。JOC、日本スケート連盟ともに、複数メダルを取った場合は合算される。これに、スポンサーや所属企業などの報奨金が加わる可能性もある。


単純に計算すると、羽生選手は1000万円、女子1000メートルでも銀メダルを獲得した小平選手は1400万円の報奨金ということになる。税金については、どうなっているのだろうか。李顕史税理士に聞いた。


●JOCの報奨金は非課税、競技団体は…

「実はオリンピックの報奨金は日本では歴史が浅く、1992年のアルベールビル冬季五輪が最初です。


かつてのオリンピックはアマチュア選手が主体で、お金を得るのはけしからんという世論があったようです。しかし、1974年に五輪憲章から『アマチュアリズム』の文字が消え、1988年から各国のプロ選手が参加するようになりました。このような背景から、日本でも選手に報奨金を支給する世論が形成されていきました」


――報奨金に税金はかかる?


「現在は非課税です。ただし、もともとは課税対象でした。たとえば、バルセロナ夏季五輪で一躍時の人になった金メダリスト中学生(当時)の岩崎恭子さん。読売新聞では、『五輪報奨金に課税!? 金メダルの岩崎恭子さんは9万円/国税庁』(1993年1月20日付)と驚きをもって報じられました。


今のように非課税になったのは、1994年の税制改正によってです。考え方は、個人で購入した宝くじが当選しても、全額非課税とされているのと同じです」


――競技団体やスポンサーからの報奨金は?


「競技団体からの場合は、2010年の税制改革で非課税となりました。ただし、あらゆる競技団体からの報奨金が非課税になるわけではなく、日本スケート連盟など、JOC(日本オリンピック委員会)加盟団体からのものに限ります。


ただし、非課税になるのは金300万円、銀200万円、銅100万円までですので、今回のように、金メダルで500万円だとしたら、200万円分は課税対象となります(平成22年財務省告示102号)。


一方、選手のスポンサーや所属企業からの場合については、すべて課税対象とされています。メダルの報奨金は『一時所得』となり、得た金額の50%が課税対象となります」



【取材協力税理士】李 顕史(り・けんじ)税理士


李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会副委員長。東京都大学等委託訓練講座講師。あらた監査法人金融部勤務等を経て、2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、経営者にとって、難しいと感じる数字を分かりやすく伝えることに定評がある。また銀行等にもアドバイスを行っている。2016年6月に「各種法人の?に答える 現場が知りたいマイナンバー実務対応」(清文社)を刊行。


事務所名 : 李総合会計事務所


事務所URL:http://lee-kaikei.jp/


(弁護士ドットコムニュース)