メルセデスのチーフストラテジスト、ジェイムズ・ボウルズは、ピレリの2018年の新しいコンパウンドのラインアップが、より接近したレースをもたらすと確信していると述べた。
今年、ピレリのスリックタイヤのコンパウンドは全面的に見直され、その全てが以前より耐久性が低く、デグラデーションを起こしやすいものとされている。
さらにピレリは、昨年の5種類のタイヤラインアップに、2つの新しいコンパウンドを追加した。最もライフが長いスーパーハードと、おそらく路面のミューが低い市街地サーキット専用になるであろうハイパーソフトである。
チームがこの新しいコンパウンドを試す機会を与えられたのは、これまでのところ、昨年11月にアブダビで行われたポストシーズンテストの一度だけだ。だが、ボウルズには、2018年にはピレリの新しいタイヤが、よりタイトなレースをもたらすという確信があるという。
「新しいタイヤは以前よりもコンパウンドが柔らかい。したがって、デグラデーションが大きく、ラップタイムも落ちやすくなって、ピットストップの回数が増えるだろう」と、ボウルズは言う。
「昨年は、競争相手に追いついたとしても、タイヤ(のデグラデーション)によるラップタイムの低下はそれほど大きくはなかった。ブレーキングやトラクションでも、タイヤの状態による差があまりないので、そこを突いてのオーバーテイクは難しかった」
「2018年には、そういった部分での差が大きくなり、結果としてオーバーテイクも増えるはずだ。ただ、現時点では、どのくらい増えるかまでは分からない」
「私の個人的な予想としては、ピットストップの回数も増えると思う。昨年と比べると、少しはオーバーテイクが多く見られるようになり、タイヤを交換せずに走り続けようとすると、パフォーマンスは大きく低下するだろう」
これに先立って、ピレリのモータースポーツ部門のボス、マリオ・イゾラは、デグラデーションと安全性をうまくバランスさせるのは、なかなか難しい課題だと語っている。
「デグラデーションがあまり大きくなりすぎるのは望ましくない。ドライバーから、アタックをしたい時にプッシュできないという、不満の声が上がるからだ。前にいるクルマをオーバーテイクしようとしてタイヤに負担をかけると、それによってパフォーマンスが大きく落ちるというのでは、ドライバーにとって良いタイヤとは言えないし、レースの面白みも削ぐことになる」
「昨年、私たちはいくつかの理由から、かなり保守的な考えに基づいてタイヤを作った。タイヤのサイズが変わり、クルマからの入力の大きさも変わったからだ。だが、昨年の経験から、全体にもう少し柔らかめのコンパウンドにしつつ、提供するコンパウンドの幅を広げても大丈夫であることが分かった」
「今年はレンジ全体を一段階ソフトにするので、ラップタイムの向上が見られるだろう。全体として、1周のラップタイムが昨年よりもおよそ1秒、あるいはそれよりもう少し速くなるかもしれない」
「私たちが正しい方向へ進んでいるのは、間違いないと思う」
チームがピレリの新しいコンパウンドを本格的に試す機会となるのは、2018年最初のプレシーズンテストだ。このテストは、バルセロナのカタロニア・サーキットで、2月26日月曜日から始まる。