日本企業では、依然として「年功序列」の人事制度を採っているところがある。一度入社してしまえば降格やリストラはほとんどなく、年次に応じて役職が上がって行く。そんな環境のせいで、ときに困った社員が上司になることもある。
「キャリコネ」で上司に関する不満について口コミ検索をしてみると、ユーザーの怒りが込められたエピソードがたくさん出てきた。今回はその中から、個人的に悪質だと感じたものを中心にピックアップしてみた。(文:内山沙希)
「悪い上司に当たると数年はキャリアアップを諦めないといけない」
「若手は覚えることが多く、知識、経験が追い付かないままに大きな目標を背負うことになり、直属の上司が無能だったりすると相当追い込まれることになる」(法人営業 20代後半 男性 正社員)
「上司の能力に結構バラツキがあり、いい上司に当たれば自分の能力を伸ばしてもらえますが、悪い上司に当たると数年はキャリアアップを諦めないといけないかもしれません」(プログラマ 30代前半 男性 派遣社員)
特に目立ったのは、部下がつらい立場に陥っていてもフォローをしない上司。これでは何のために上司という存在がいるのかわからない。また、上司がどういう人間かによって、そのチームの業績も大きく変わってくる。部下のキャリアアップのスピードにも自ずと影響してくるので、無能な上司の下についてしまった人は気の毒としかいいようがない。
「愛嬌と従順性があれば無能な人でも管理職、役員になれる」
「無能な上司が多く、人を育てようとする文化もない。ダメ出しすることは出来るが、自ら新しいプロモーションを築く事は出来ない。英語が多少話せるというだけで、ヒューマンスキルが全くないジョブホッパーがマネジメントポジションに多い」(マーケティング 30代後半 男性 正社員)
「いくら有能な人材であってもその芽は潰される。社長が右を向けば右を向かなければいけないし、納得できないことを言われたとしても首を縦に振らなければならないのだ。現場主義、ボトムアップと言ってはいるが、現状は完全なるトップダウンになっている。逆を言えば無能な人でも愛嬌と従順性があれば管理職、役員にまでのぼりつめることができる。常に笑顔、謝罪の際は立て膝をつく、まるで忠犬ハチ公のような人間が社長の回りを取り囲んでいる。無能な上司の元で影の薄れた有能なスタッフは現実に気付き、辞めていく他はない」(ショップスタッフ 30代前半 女性 正社員)
上司に本当に必要な力は「プレイヤーとしてのパフォーマンスの高さ」よりも、「部下を育てる力=マネジメント力」ではないだろうか。スポーツにおけるコーチや監督のように必ずしもマネージャー自身がトッププレイヤーでいる必要はないのだ。なぜなら、優秀なプレイヤーをたくさん育てられるマネージャーは結果的に会社に利益をもたらすからだ。
何よりも許せないのは、プレイヤーとしての実績もなく、年功序列がゆえに生まれてしまったマネージャーだ。そういう上司に限って権利を振りかざすのだから、タチが悪い。そんな上司の下に配属されてしまったら、不運だったと諦めるしかないのだろうか……。年功序列な社会は、つくづく若者に厳しい。