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ロンドンバス1台分の荷重に耐える強度が必要。F1ハロ統合テストには「思わず息をのむような瞬間」も

2018年02月17日 12:02  AUTOSPORT web

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マクラーレンMCL32・ホンダ
マクラーレンのチーフエンジニアリングオフィサー、マット・モリスによると、コクピット保護デバイス「ハロ」のチーム内でのテスト中には、「思わず息をのむような瞬間」が何度もあったという。

 ハロをシャシーに統合する作業は、全てのF1チームにとって難しい課題であり、マクラーレンも例外ではなかった。ウォーキングの技術スタッフは、このデバイスの統合に向けて、モックアップを使って段階的にテストを進めていくアプローチを採った。

 だが、ハロの耐力レベルのテストでかける荷重はきわめて大きく(メルセデスのジェームス・アリソンは、これを「ロンドンバス1台分とほぼ同じ重さ」と表現した)、彼らは想定していなかったほどの規模でシャシーの設計変更を強いられたという。

「とても難しい課題だった」と、モリスは言う。
「耐荷重レベルがものすごく高いんだ。ともあれ、難しいことは最初から分かっていたので、十分な数のテストピースを作れるように、あらかじめ時間と予算はたっぷりと取ってあった」

「もちろん、このテストだけのために、実物と同様のシャシーを作りたくはない。そこで様々なテストピースを作り、そこにダミーのハロ、ハロの一部分、そして実物のハロを取り付けて、荷重をかけた時に接合部分がどうなるかを試した」

「その過程で、いくつかの問題点が明らかになった。だが、そうした問題にも対処できるように、早めに計画を進めてきたので、実物のシャシーの製作に間に合うように解決できた」

「ただ、そのタイミングはかなり際どかったし、全然苦労はなかったと言うつもりもない。特にハロに斜めから荷重をかける静的テストをやった時には、見ていて思わず息を呑むような瞬間が何度もあった。何しろ、ロンドンバス1台分の荷重をかけるのだからね」

「あの荷重の大きさを知った上でテストの進行を見守るのは、それに耐えるように設計されていることが分かっていても、本当にヒヤヒヤするものだった」


 装着が義務付けられたハロ本体は、全チームが同じものを使用する。だが、指定された範囲内であれば、各チームがハロの「フェアリング」をデザインすることは許されている。

 マクラーレンの空力部門のトップ、ピーター・プロドロモウは、当面はどのチームもパフォーマンスゲインの可能性を探ろうとして、様々なデザインのフェアリングを試してくるだろうと考えている。

「空力的に言えば、ハロが悪影響をもたらすのは確かだ。まず最初のうちは、その悪影響をどう打ち消すかが課題になる。これはダメージ・リミテーションと呼んでもいいと思う」と、プロドロモウは述べた。

「その段階が過ぎると、次には可能性を模索する時期が来るだろう。ハロがあることを前提にして、新たに興味深い手法が開拓されるかもしれない」

「それぞれに異なった多様なソリューションが登場するのは間違いない。ハロの基本形状をベースとして、できることはかなり限定されているが、そこには何らかの可能性があるということだ」

「私たちを含めて誰もが直面することになるのは、エンジンに取り込まれる気流、そのエリアにあるクーリングダクト類への気流、そしてリヤウイングにあたる気流に、ハロがどんな影響を及ぼすかという問題だ」
「裏を返せば、これまでにはなかったチャンスが、そうした部分で生まれる可能性がある」

「ただ、そうして得たアドバンテージは、あまり長続きはしないだろう。シーズン半ば頃までには、他のチームにコピーされてしまうに違いないからだ」
「面白いのはシーズンの前半戦だと思う。私の大ざっぱな予想として、それ以降は全チームのソリューションが、だいたい似たようなものに収束していくと思う」