高等教育の無償化に向けた議論が進む中、日本私立大学団体連合会は2月14日、「私学振興に関する懇談会」を開催し、私大に通う学生の負担も国立大学と同じように軽減することを求めた。
内閣府は昨年12月、「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定した。「高等教育の無償化」に向けて、住民税非課税世帯の子どもには国立大学の授業料を免除することや私立大学についても授業料を減免する措置を講じるとしていた。
授業料、国立大は約54万で私大は約122万 財政支出の格差が学生の負担に影響
これに対して私大団体連は、
「国立大学生と私立大学生との間に異常に大きな公的支援の格差と学生納付金学の格差の是正を検討すべき」
と「高等教育の機会均等に関する要望」の中で指摘。私大生1人当たりの公的支出は国立大学のおよそ13分の1に留まっており、国立大約54万円、私大約122万円という年間授業料差が生まれている。これを是正すべきだというのだ。
そのためにも、私大向けの補助金を拡大した上で、「高等教育機会均等拠出金制度」という新しい制度を創設するよう求めた。同制度は、
「入学・在学時の授業料負担の軽減、卒業後に個人的便益の一部の所得に応じた還元」
を行うものだという。日本経済新聞は、同制度の詳細について、「学費の2割を在学中に支払い、残りの8割は卒業後、一定の所得額に達すると給与から源泉徴収で返済する」と報じている。
私大団体連が指摘するように、そもそも日本では教育への公的財政支出が少ない。経済協力開発機構(OECD)によると、加盟国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は、平均で4.4%(2014年)だった。日本は3.2%に留まり、34か国中最低となっている。
公的支出にしめる高等教育の割合は34%で、OECDの平均70%を大きく下回っている。共同通信の昨年9月の記事によると、OECDのシュライヒャー教育・スキル局長は「日本の私費負担は重い。家庭の経済状態による格差をなくすためにも、一層の公的支出が必要だ」と指摘しているという。
「卒業しても無駄な私学はつぶせよ」「Fラン大は就職しょぼくて給料少ないから払えない」
私立大学の学費負担が軽減されれば、これまでよりも大学に進学しやすくなる。大卒と高卒で就職に大きな差が生じる現状を考えると、格差を縮小するためには必要な制度のように思える。
しかし中には、定員割れを起こしている私立大学やいわゆる"Fラン大学"にまで税金を投入するのかと疑問に思う人もいるようだ。ネットには「卒業しても無駄な私学はつぶせよ」「Fラン大は就職しょぼくて給料少ないから(学費を)払えない」といった声が相次いでいた。