2018年02月16日 10:22 弁護士ドットコム
コンビニオーナーでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」(約150店舗加盟)と下部組織のファミリーマート加盟店ユニオン(うち約20店舗が加盟)がフランチャイズ(FC)本部のセブン-イレブン、ファミリーマートを相手に団体交渉を求めている。24時間営業やオーナーの長時間労働などの問題を議論するためだ。
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一方、各本部は「オーナーは独立した事業者で労働者ではない」と団交を拒否。労働者ではないのだから、労働組合とは認められないとの立場をとっている。
「日本プロ野球選手会」があるように、労働組合法では「労働者」の定義が広い。はたして、ユニオンに加盟するオーナーも労働者と言えるのか。現在、中央労働委員会(中労委)で審査が進んでいる。
「立地も売上を左右しますが、オーナーの手腕によっても大きく変化します」
1月25日の審問の中で、セブン&アイ・ホールディングス役員はこう強調した。オーナーが代わると、多くの店舗で売上が伸びたという社内統計もあるという。
「オーナーが何をするかは経営者であるオーナーの判断次第」
「従業員をうまく使えない、育てられないから、致し方なくオーナーが働くことになる」
セブンの契約書の中には、本部が必要と判断すれば、いつでもドミナント出店(地域シェアを高めるため、系列店を集中させること)できるとの条項があるという。しかし、近隣に系列店ができても、一時的に売上が下がるだけ。本部はしかるべき経営努力をすれば、売上は回復・増加すると主張する。
ユニオン側の弁護士が「独立した経営者なら、営業時間や休店日も自由に決められるのでは」と問うたところ、本部役員は「契約上、許されていない」。
世の中が「コンビニ=24時間」だと認知しており、24時間をやめたら日中の売上が下がる可能性もあるという。「24時間をやれない人には無理してオーナーになることを薦めていない。合意の上だ」
2月8日にあったファミリーマートの審問では、FC店舗に助言・指導などを行うスーパーバイザー(SV)の影響力が議論になった。
ファミマの契約書には、オーナーはSVの助言・指導などに「従い、活用することを約す」とある。しかし、本部側は「実態は違う」と反論。SVが作成する営業計画についても、助言・指導と同じく採用は自由で、達成できなくても「一切の不利益はない」と断言した。
ユニオン側は、SVが勝手に商品を発注したという、あるオーナーの証言も提示。本部側は「会社はSVの直接の発注を認めていない」「仮にそういう事実があったとしたら、例外中の例外。SVとして失格に近いできごと」と述べた。
また、ファミマの契約書では、オーナーの契約更新について、業績や年齢などを総合的に勘案し、本部が自由に決定できるとされている。だが、本部はこれにも「話し合いで決める」「加盟店が希望するのに、本部が一方的に契約を解除することはない」と否定した。
このほか、オープン前にファミマオーナーとマネージャー(多くは店長の妻)が受ける健康診断にも話が及んだ。ファミマが医師に宛てた文書の中には、オーナーの就労時間について「1日10時間以上、週1日程度の休日が基本」という記述がある。本部は「あくまでも目安」と述べるにとどまった。
労働組合法は、正当な理由のない団交拒否などを禁じており、そのような「不当労働行為」に対する救済制度が設けられている。現在、審査を行なっている中労委は、第2ラウンドに相当する。
第1ラウンドが始まったのは、5年以上前。ユニオンがセブン-イレブンについて救済を申し立てたのが2010年(岡山県労働委員会)、ファミリーマートは2012年(東京都労働委員会)だ。
岡山県労委は2014年、都労委は2015年、それぞれオーナーの労働者性を認め、会社側に団交に応じるよう命令。コンビニ本部が不服を申し立てたため、中労委に移行した。今後、各事件2回の審問が予定されており、委員による合議をへて、結果が出る。
(弁護士ドットコムニュース)