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「ポプテピピック」でアース・ウインド&ファイアー、曲のパロディどこまで許される?

2018年02月16日 10:22  弁護士ドットコム

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アニメ『ポプテピピック』が話題です。特徴の1つは、随所にちりばめられたパロディ。ネットで番組名を検索すれば、元ネタ探しに力を入れるネットユーザーの姿を多く見ることができます。


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パロディ元はマンガやゲームに限りません。1月28日放送の第4話では、ディスコミュージックの名曲として、今も人気のEarth, Wind & Fire『Let's Groove』にそっくりな挿入歌『Let's pop together』が…。宇宙空間とエフェクトを背景に躍る映像も本家のPVと同じ構図でした。


こうした「パロ曲」は法的にどう考えられるのでしょう。著作権に詳しい桑野雄一郎弁護士に、番組映像を観てもらいました。


●類似性は総合的に判断される

ーー著作権的には、どういう論点になるのでしょう?


パロ曲で問題になる著作権は「編曲権」です。


著作権法には「編曲」の定義はないのですが、判例上は、(1)依拠性と(2)類似性を満たすと編曲権侵害ということになります。


有名な曲をパロディにするパロ曲では(1)依拠性は問題なく認められるでしょうから、編曲権の侵害になるかどうかは原曲とパロ曲が(2)類似性の要件を満たすかどうかによって決まります。




ーー類似性はどうやって判断されるんですか?


楽曲の類似性は、パロ曲のような音楽ジャンルでは基本的にメロディの類似性で判断されます。


どの程度メロディが似ていれば類似性ありと判断されるかは一概には言えないのですが、判例では(a)楽曲の音の約72%が共通すること、(b)楽曲の各フレーズの最初の3音以上と末尾の音、そして各フレーズの強拍部の音が同一であること、(c)相違部分が全体に与える影響が微弱であること、などを総合的に判断して類似性があると判断したものがあります。


また、類似性の有無は楽曲全体を比較して判断されますので、一部の印象的なフレーズが同じでも編曲権侵害になるわけではありません。


●「似た印象を与えても編曲権侵害にならない程度に違う楽曲に仕上げている」

ーーズバリ、『ポプテピピック』のアレは大丈夫なんでしょうか?


『ポプテピピック』の楽曲はアレンジなども含めて似た印象を与えるものにはなっていますが、メロディ自体はかなり異なっていますので、類似性はないといえるでしょう。


TV番組などで作られているパロ曲は、そのあたりのさじ加減はよくわかっていて、似た印象を与えても編曲権侵害にならない程度に違う楽曲に仕上げている例が多いと思います。


ーーパロ曲を作るのも、「職人芸」なんですね


なお、『ポプテピピック』のPVも似た印象を与えるものにはなっていますが、具体的な映像表現や登場する人物・キャラクターが全く異なっていますので、これも著作権侵害にはならないでしょう。


ーー人気番組の裏には、クリエイターたちの緻密な計算があると言えるのかもしれませんね


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
桑野 雄一郎(くわの・ゆういちろう)弁護士
骨董通り法律事務所。島根大学法科大学院特任教授。「外国著作権法令集(46)-ロシア編―」(翻訳)、「出版・マンガビジネスの著作権」(以上CRIC)、「著作権侵害の罪の客観的構成要件」(島根大法学第54巻第1・2号)等。
事務所名:骨董通り法律事務所
事務所URL:http://www.kottolaw.com