トップへ

「仮想通貨」所得の把握に四苦八苦…申告漏れはどういうきっかけでバレる?

2018年02月15日 10:23  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

「去年の確定申告でめんどくさいからビットコイン申告しなかったらこうなりました」。こんな文言とともに、過少申告加算税8万3500円が課されることを通知する文書の画像がツイッターで投稿され、話題になった。


【関連記事:「カルディ」コーヒー「タダ飲み」目当て、買い物する気ゼロ…法的に問題ない?】


平成28年12月31日分の財産債務調書を提出した際に、ビットコインについての記載がなく、修正申告で、過少申告加算税が課されてしまうことになったという。投稿者は「ほかの件で呼び出されて銀行の送金履歴にビットフライヤーがあってそこからバレたって感じ」と説明している。


ビットコインなど仮想通貨の脱税は、どのようなきっかけでバレてしまう可能性があるのだろうか。田中隆昭税理士に聞いた。


●仮想通貨は所得の把握が難しい

国税庁は昨年、仮想通貨の課税ルールを公開している。取引から生じる損益は、原則として、雑所得に該当するというものだ。田中税理士は「仮想通貨取引の急激な取引拡大に応じて、平成29年分の確定申告に間に合わせるべく、急ぎ課税ルールを出してきたという印象です」と語る。


課税ルールが明確されたことで、確定申告はスムーズにできるようになったのか。


「そう簡単にはいかないでしょう。仮想通貨の取引は、他の金融取引のように支払調書などにより、所得を把握できる仕組みがありません。


正確に所得計算を行うのには、現実的に限界があります。特に、仮想通貨から仮想通貨への交換についても、所得を構成するとありますが、このような場合、どれくらいの方が、正確にその交換による所得を把握できるのでしょうか。実務的にはハードルが高いでしょう」


●古典的な方法でバレてしまう可能性

当局による把握も難しいのではないか。


「私が考えるには、特効薬と言えるようなやり方はないでしょう。


強いて言うと、その方の通常の年収から判断して、消費が派手と判断されると、調査対象になり、追徴課税されることはあるでしょう。例えば、年収400万円の人が、2,000万円のフェラーリを現金一括で買うなどして、販売業者から足がついて、追徴されてしまうようなパターンです。このような古典的な方法でバレてしまうのだと思います。


今は儲けがでる前提で課税ばかりに着目されていますが、今後は損失がでた場合のことも考えておく必要があるでしょう。雑所得は、給与所得などと損益通算もできませんし、その損失を翌年以降に繰り越しもできません。


ですから、仮想通貨の取引内で、儲けと損失を相殺するなど、取引のタイミングを考えて、所得発生をコントロールしていきたいところです」


【取材協力税理士】


田中 隆昭(たなか・たかあき)税理士


上場企業で20年近く勤務し、主に海外におけるM&Aにたずさわってきました。現場に密着し事業企画の立案やその実行支援の経験が豊富で、独立後はその経験を活かし銀行融資に強みを持つ。


事務所名   :田中隆昭税理士事務所


事務所URL:https://tanaka-zeirisi.com/


(弁護士ドットコムニュース)