アルマーニ標準服の導入で話題になっている東京都の泰明小学校は2月13日、今週末17日に予定していた学校公開を一部変更すると発表した。公開対象を保護者のみにするという。一連の報道を受け、児童の安全確保を考えての決断だ。
学校公開は中央区の小学校が年に数回行っていて、泰明小学校も、保護者や地域住民、入学を検討している未就学児を持つ保護者らに向けて授業を公開していた。今年度は9月と10月に行い、2月の公開が今年度最後の開催だった。
学校関係者はキャリコネニュースの取材に対し、今回の決断について「子どもたちが道を歩いているだけで見知らぬ人から『お前が泰明の子か』と怒鳴られたり、服を掴まれたりと危険な状況になっている。公開を限定しなければ、安全を確保できない」と悔しさを滲ませた。
一部報道の責任も問いかける「9万円なんてフェイクです」
標準服に関する最初の報道があって以降、学校は落ち着いて学習できる状況ではなくなっているという。
「報道があってから、多くの人が勝手に校内に入ろうとしました。報道関係者の方ではなく、ゴシップ的なものや一般の方です」
児童が見知らぬ人から「特権意識を持っているんじゃないか」と言いがかりをつけられたり、服を掴まれたりする事案も発生している。子供達には、不審者に遭遇した場合は相手にしないよう指導した上で、教職員が途中まで付き添って集団下校させているという。それでも、学校への罵倒の電話などは止まないそうだ。
「教員は、子どもたちがいる間は教育指導にあたっていますが、下校後はひっきりなしにかかってくる電話に対応し、会議が滞るなど業務に支障が出ています。ただでさえブラックな教員の労働環境が更にブラックになっています。今日も電話で『ブラックは当たり前だ。24時間起きていて死ね』と言われました」
こうした状況の一因として、報道の責任も問いかけた。「最初、公立小学校の標準服に9万円という、誘い水のような報道がされましたけれども、9万円もかかりません。代用可能なものもあるので4万円で済みます。9万円なんてフェイクです」
その後のメディアの報道にも苦い思いを抱えている。
「こちらと名刺を交換して状況をお話させていただいた報道関係者の方々の中には、思いを受け止め、報道では4万円と言ってくださるケースもあります。ただ、同じメディアでも番組が違えば扱いが変わります。ニュース番組ではそう言っていても、ゴシップ的な番組では9万円と言っていたり、校長の人となりまで探って好きなように脚色されていたりします」
「ほとんどの保護者が反対しているというのも嘘。新1年生の保護者は全員賛成している」
事実無根な報道もある。日刊ゲンダイデジタルは2月10日、和田校長の人柄や過去の行動について「校長は派手なことが好き」という学校関係者のコメントを報道した。これに関し、関連しているとされた和食給食応援団はフェイスブック上で
「『派手好きな性格から和食給食応援団や小泉進次郎議員を呼んだ』ような表記がありますが、和食給食応援団の訪問も、銀座小十 奥田さんの訪問も小泉議員の訪問も全てこちら側からの依頼に基づくもので、和田校長からの依頼があった事実はありません」
と全否定している。
標準服導入にまつわる保護者らの態度についても、嘘の情報が流れていると明かす。取材に応じた関係者も
「ほとんどの保護者が反対している、なんて報道はフェイクです。みんな賛成しています。特に新1年生の保護者は全員賛成して、特認校である泰明を選んでいるんです」
子どもたちが危険な状況に晒されていることに、非常に悲しみを覚えていると言う。
「私たちは普通に教育をしたいだけなんです。今日もPTAの方による特別授業でお相撲さんと校長先生が相撲を取ることになって、1年生は『先生がんばれー』と応援していました。保護者の皆さんは、今回の件で校長先生のことを心配しています。電話をかけてくる人たちは、本当は校長に直接暴言を言いたいんでしょう。でも言えないから子どもたちに矛先が向いている。まるで集団いじめです。『ほら、殺してしまえ』という話になっていてとても辛いです」
標準服導入に子供達は関わっておらず、報道後も、それまでと変わらない普通の学校生活を送っているだけだ。泰明小関係者は「子どもたちの安全を脅かされるほど、心ない人たちから攻撃されている状況だと分かって欲しい」と訴えていた。