WTCCの2017年王者テッド・ビョークと、4度戴冠のレジェンド、イバン・ミューラーがタッグを組み、2018年WTCRに参戦 WTCC世界ツーリングカー選手権ラストイヤーの2017年に王座を獲得し、“WTCC最後のチャンピオン”となったテッド・ビョークと、WTCC史上もっとも成功を収めた“ツーリングカー・レジェンド”のイバン・ミューラーが、チームメイトとして2018年のWTCRワールド・ツーリングカー・カップに参戦すると発表した。
WTCCで4度のドライバーズタイトル獲得経験を持ち、現役引退を表明した2017年以降はボルボ・ポールスター・シアン・レーシングのアドバイザーとして活動してきたミューラーは、2018年に新設されるWTCRに向け、自らのチームであるイバン・ミューラー・レーシング(YMR)で参戦。2台のヒュンダイi30 N TCRを投入するとアナウンスした。
リタイア宣言から一転、現役復帰を果たすと同時にチーム監督の役割も担うこととなったミューラーのチームメイトには、ポールスター時代の同僚で2017年のWTCC王者となったビョークを起用。WTCRのグリッド上でもっとも強力なタッグが結成されることとなった。
2016年シーズンを最後に現役ツーリングカー・ドライバーからの引退を表明していたミューラーは、フランス国内を中心に活動する自らの名を冠したチームを立ち上げると同時に、WTCC制覇に向け体制強化を狙ったボルボ・ポールスターの職務も兼任。最終戦カタールでは超強力な“助っ人ドライバー”として1戦限りの復帰を果たし、ボルボS60ポールスターTC1をドライブし、見事にビョークの初王座獲得をアシストする離れ業を演じてみせた。
そのポールスターでの仕事で強力なアライアンスを築いたミューラーとビョークは、WTCCとTCRインターナショナル・シリーズが統合して新たに誕生したFIA WTCR参戦に向け共闘。ミューラーは「かつての目標とは違うところに、今の私のモチベーションはある」と、この新たな挑戦に対してのアプローチを語った。
「私はすでに自分自身のドライバーとしてのキャリアは終えている。今、フォーカスしているのは自分自身のリザルトよりも、チームビルディングの面。強い組織を作り上げる点にあるんだ」
「だから、YMRにテッド(・ビョーク)が関与してくれたことは本当にうれしい。彼は私を信頼してくれているし、私も彼を信頼している。彼が偉大なドライバーであることに疑いの余地は無いし、昨年ポールスターで彼と一緒に過ごしたことで、その事実をよく知っているんだ」
現在37歳のビョークは、2016年にWTCCヘ転向する前年には、母国のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権で3連覇の偉業を達成。そしてフルタイムで挑んだWTCCでは、ボルボ・ポールスターに初勝利をプレゼントすると同時に、WTCC最後のドライバーズ、チームズ両タイトルを獲得する活躍を演じて見せた。
「2018年シーズンに向け、またこうしてイバン(・ミューラー)とともに働けることを光栄に思う」とWTCC王者のビョーク。
「僕らは2017年に素晴らしい協力関係を築いてきた。その彼とともに新たなレギュレーションのマシンでともにレースを戦うことは、本当に刺激的でモチベーションの高まるニュースだ」
「僕らには新しいことだらけで、学ぶことも多いだろうし、コンペティションのレベルがとても高いことも理解している。しかし僕の目標はただひとつ、勝つことだけだ」
WTCCから引き続き、WTCRのイベントプロモーターを務めるユーロスポーツ・イベントの代表フランソワ・リベイロは、「イバンは“レジェンド”として、まだまだ一線級の競争力を持っていることは疑いようがない」と、ビッグネームの新シリーズ参戦を歓迎する意向を示した。
「我々はこの新たなFIA WTCRの初年度に向け26台のグリッド上限を設けたが、それは参戦するエントラントの競争力とクオリティを維持するための措置だった。イバン・ミューラーとテッド・ビョークという一流のドライバーが参戦を発表したことで、正しい判断だったと証明されたようなものだ」とリベイロ。
「テッドは参戦2シーズンでWTCC王者を獲得するなど、そのドライバーとしての能力を大いに証明してみせた。イバンはトラックでの戦績より、チーム運営の方に焦点を置いているだろうが、2017年のWTCC最終戦カタールで見せたように、ドライバーとしての競争力も一流であることは疑いようがない」
結成以降スポーツカーのシリーズで活動してきたYMRは、今後WTCR参戦に向け2台のヒュンダイi30 N TCRのデリバリーを受ける予定となっており、車両製作が完了次第、4月7~8日の開幕戦モロッコに先立ち、テストプログラムを開始する予定となっている。