アストンマーチン・レーシングは2月9日、2018/19年WEC世界耐久選手権の参戦体制を発表し、現在開発を進めている新型アストンマーチン・バンテージGTEを2台、LM-GTEプロクラスに投入するとした。
ポルシェ、フォード、2017年チャンピオンとなったフェラーリに加えて2011年以来7年ぶりにル・マンGTカテゴリーに復帰するBMW、ル・マン24時間レースではこれにコルベットが加わるLM-GTEプロクラスはWEC最多のマニュファクチャラーを抱える激戦区だ。
そんなGTEプロクラスに2012年から参戦をしているアストンマーチンは、2018~19年にかけて開催される“スーパーシーズン”に市販車のモデルチェンジに合わせて開発されたまったく新しいバンテージGTEを導入。ル・マン連覇と2016年以来のタイトル奪還を目指す。
昨秋から各地のサーキットで走行テストを続ける新型マシンは先代モデルからエクステリアが一新されたほか、エンジンも自社製4.5リッターV8自然吸気からメルセデスAMG製の4.0リッターV8ツインターボエンジンに変更されている。また、足もとでは過去2シーズン使用したダンロップタイヤからライバルの他車メーカーが採用するミシュランタイヤにスイッチしている。
GTEプロクラスでモデルチェンジしたマシンを駆るのは2016年王者のマルコ・ソーレンセン、ニッキー・ティーム、昨年のル・マンを制したジョニー・アダム、ダレン・ターナー、今季からアストンマーチン・ワークス入りしたアレックス・リン、マキシム・マルタンの合計6名。
この内、ソーレンセンとティームは前年から引き続き95号車アストンマーチンをドライブする一方、97号車アストンマーチンにはリンとマルタンのニューフェイスコンビが起用された。9日発表のシーズンエントリーリストに名前が載らなかった昨季のル・マンウイナーたちは、ターナーが95号車、アダムは97号車でそれぞれ第3ドライバーを務めることとなった。
「新しいバンテージGTEは先代のマシンから大きく進歩している。(イギリス・)ゲイドンのデザインチームが作り上げたロードカーは、レースカーのパフォーマンスを大幅に引き上げた」とターナー。
「ル・マンでは2017年より良い結果を臨むことができないが、昨年の再現ができれば新型バンテージの“血統”になるだろう」と語った。
BMWから移籍してきたマルタンは「僕は昨年、BMWドライバーとしてニュルブルクリンク24時間レースでアレックス(・リン)と一緒に仕事をしていたんだ。その時は同じクルマではなかったけど、彼とふたたびレースをするのが楽しみだよ」とコメント。
「アレックスもジョニー(・アダム)もスピードがあり経験も豊富なドライバーだ。僕たちが目指すのは勝利と表彰台だけであり、シーズン中2回あるル・マンのうちどちらか1回で勝つつもりだ」
また、リンも「世界チャンピオンになりたいことは言うまでもないよ」とデビュー初年度からタイトル獲得を目指す姿勢をみせ、「僕はアストンマーティン代表としてWECで勝つためにここにいると思っている」と続けた。
アストンマーチン・レーシングとしてシリーズに投入するもう1台のバンテージGTEは今季、LM-GTEアマクラスのディフェンディングチャンピオンとして同クラスに参戦する。
2017年シーズン、悲願のシリーズチャンピオンを獲得したポール・ダラ-ラナ/ペドロ・ラミー/マティアス・ラウダ組の98号車アストンマーチン。クラス屈指のスピードを誇ると名高いラインアップは年またぎの“スーパーシーズン”でも体制を堅持。エントリーが5台から9台に増加するGTEアマクラスでタイトル防衛に臨む。
なお、参戦車両は最新マシンの1年以上型落ちでなければなならないというLM-GTEアマクラスのレギュレーションに基づき、モデルチェンジ前の旧型マシンを用いることとなる。