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カイワレハンマーは“YouTuber”の垣根を超える存在に? ワタナベマホトの多彩な活動に迫る

2018年02月13日 10:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 現在では、広く世間に認知されている「YouTuber」という職業。その礎を作ったともいえる古株YouTuberのひとりとして、ワタナベマホトが挙げられる。マホトは中学生当時の2007年、HIKAKINとほぼ同時期にネットへの動画投稿をスタート。その後人気YouTuberとなり、自身のファッションブランドを立ち上げたり、音楽ユニット・カイワレハンマーを結成するなど、多彩な活動をみせている。


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 ユニセックスな風貌で、“イケメンYouTuber”として取り上げられることも多く、女性ファンの数がとりわけ目立つマホト。だが、整ったルックスとは裏腹に、彼の動画は過激な体当たり系のものが中心だ。そのため、活動当初はHIKAKIN同様、小中学生男子からの支持もかなり高かったように思う。


 グループYouTuberも多いなか、基本的にはソロで動画を投稿しているマホトは、同業間でのつながりを日頃からとても大切にしているようにも見える。頻繁にコラボ動画をアップしているだけでなく、過去には「仲間家」と銘打ったシェアハウスを作り、後輩YouTuberであるへきトラハウスやサグワと共同生活を送りながら、彼らの活動を金銭的に支援していた(※へきトラハウスがチャンネル登録者数100万人を突破したことを機に、仲間家は昨年9月に解散)。


 YouTuberとして一定の人気を獲得した2013年には、アーティストのTOMOYAとともにファッションブランド「REBERTAS(リベルタス)」を設立。さらに、同じくYouTuberであるimigaとのヒップホップユニット・カイワレハンマーでは、精力的に音楽活動を展開している。


 もともと、imigaはマホトのリスナー(ファン)であり、マホト主催のオフ会で知り合ったことがきっかけで、二人はユニットを組むに至ったという。ちなみに、「カイワレハンマー」という特徴的なネーミングには特に意味がなく、語感の良さでつけたのだとか。また、こうした音楽活動において、マホトは「BEMA」と名乗っている。


 カイワレハンマーは、2014年に1stアルバム『BegInner』でデビュー。その後、2年間でミニアルバム3枚、同時リリースのフルアルバム2枚、シングル1枚という驚異的な活動ペースを見せ、ツアーも毎回即完。傍目には順風満帆なように見えていたものの、2016年3月に突如活動休止を発表し、ファンを驚かせた。


 休止の理由は、YouTuberとしての知名度の高さに「甘えている」、音楽的な実力が伴っておらず「スキルがまだまだ」と、BEMA自身が感じたためだという。とはいえ、休止期間中もそれぞれソロで活動し、BEMAはアルバム『侵略的隙間』をリリース。また、BEMAとimiga、ゆうこん(Amaryllis Bomb)、サグワによる4MC新ユニット「quad4s(クアッドフォース)」も結成し、休止発表から約1年後となる2017年4月、満を持してカイワレハンマーの活動を再開させたのだった。


 過去には、LITTLEやSHOCK EYE(湘南乃風)、トラックメイカーの熊井吾郎も制作に関わるなど、カイワレハンマーのサウンドはかなり本格的だ。だが、人気YouTuberということで、他のアーティストからは「なめられることが多い」と本人らも語っている。そんな中、昨年12月にリリースされたアルバム『【閲覧注意】セカンドシングル出してみた結果www』は、YouTuberとしてのバックグラウンドを全面に押し出したタイトルとなっており、これまでにない“振り切った感”がうかがえる。


 音楽の道一筋のいわゆる“アーティスト”とも、演奏動画を中心に投稿する“音楽系YouTuber”とも異なるカイワレハンマー。彼らは、唯一無二の“YouTube系ヒップホップユニット”として、新たなシーンを牽引する存在となるかもしれない。2月14日にリリースする5thミニアルバム『Regression』は、タイトル通りコンセプトやサウンド面を1stアルバム『BegInner』に“回帰”した作品となっているとのこと。同作の仕上がりも楽しみだ。(まにょ)