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劇団ひとり、まるでルー大柴!? 『西郷どん』土佐弁、英語を駆使してジョン万次郎役を熱演

2018年02月12日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 日本の方言の中でも、薩摩弁は特に難解さを極める方言であり、その薩摩を舞台にした『西郷どん』(NHK総合)は、ファンの間で“字幕推奨”とも言われている。第6回「謎の漂流者」では、西郷吉之助(鈴木亮平)が入れられた牢で出会う“漂流者”改め、ジョン万次郎(劇団ひとり)が登場する。薩摩弁に英語、加えて土佐弁が入り混じるという事態に、筆者も思わずテレビの字幕をオンに設定。片言の会話が飛び交う、大河ドラマとしては奇妙な回となった。


参考:『西郷どん』モテ男・西郷がついに証明!? 北川景子、宮崎あおいを超える“篤姫”の可能性


 ジョン万次郎は、土佐の漁師として生まれ、嵐で漂流した末にそのまま渡米。土佐にいる母親に会うべく、日本に帰国し一時期を薩摩藩で過ごした数奇な男である。本当のことを話したら死罪になると思ったジョン万次郎は、かたくなに英語で会話をし続ける。牢の中で口ずさんでいたのは映画『火垂るの墓』の挿入曲としても有名なイングランド民謡「Home! Sweet Home!」(「埴生の宿」)。ジョン万次郎が故郷・土佐を思い続けていたことが分かる1曲だ。彼は吉之助らに助けれられ、そこで母親の子守歌を聞き「おっかぁ……おっかぁ」とつぶやいてしまうことで、素性がばれる。そこから、ジョン万次郎は英語交じりの土佐弁を解放するのだ。


 「アメリカのウェルシップに助けられたがよ」「ホームに残したおかあのことが心残りで」「親も家も関わらん。好いた者同士で結ばれるががラブじゃき」「鉄を作るファクトリーがない。ほんじゃき、スチームで動くエンジンも作れん」「わしみたいなもんでも精進を重ねたら、金持ちやちプレジデントやちなれるがです」。ジョン万次郎が吉之助、斉彬(渡辺謙)と話した会話からは、まるでルー大柴を彷彿とさせるユニークさが醸し出された。演じた劇団ひとり本人も「週刊 西郷どん」のインタビューの中でその要素に触れている。加えて、土佐弁の方言にも苦労したようだが、言語だけではなくその“演技”も非常に印象的だった。


 劇団ひとりは、2015年放送の『花燃ゆ』以来、今回が2度目の大河ドラマ出演。映画監督デビュー作であり、自らもキャストとして出演した『青天の霹靂』が代表作の一つに挙げられるが、『ゴッドタン』(テレビ東京)などを筆頭にバラエティ番組、コントで度々見せる“泣き芸”のイメージは強烈だ。そこをグッと抑えつつ、好きな相手を愛する気持ちである“ラブ”を吉之助らに、アメリカでの学びを斉彬に淡々と教授していく。非現実的とも言えるキャラクターながら、『西郷どん』の世界で生きるジョン万次郎として、説得力ある人間味を放っていたように思えた。


 第7回「背中の母」では、吉之助が嫁を迎えることになる。彼にとって最初の妻・須賀を演じるのは橋本愛。予告では「能面みたいな花嫁じゃな」というセリフがあるが、どのような演技を見せれくれるのか。(渡辺彰浩)