働き方改革が声高に叫ばれるこのご時世、ブラック企業にまつわる事件が大きなニュースとして取り上げられ、世間の耳目を集めている。キャリコネにもブラック企業に関する口コミ投稿は多いが、その一方でホワイト企業として広く認知されている企業に関する口コミも、多数寄せられている。
今回取り上げるのは、家庭用ゲームソフトで国内シェアの17.4%、家庭用ゲーム機では44.9%(ファミ通ゲーム白書)を誇る世界有数のゲーム会社・任天堂だ。
任天堂の2017年3月期の売上高は4890億円、営業利益は293億円に及び、昨年3月にはWii U、ニンテンドー3DSといった主力商品に、「ニンテンドースイッチ」が加わった。売れ行きは好調で、全世界販売台数は1500万台に手が届こうとしている。
本社は京都市南区にあり、昨年、東京都台東区に設立された任天堂販売株式会社などを含む連結社員数は5458人(2017年9月末)。また、日経リサーチの調査では2016年4月入社の大卒初任給は23万3000円となっている。
「勤務時間も短く、残業代もきっちり支払われるので、非常にホワイト」
デザイナーなどクリエイティブ職をはじめ、ゲーム業界での仕事に憧れる人たちは多いが、その人気ゆえ"やりがい搾取"なども起こりやすい業界といった印象を持つ人も少なくないだろう。
だが、同社の口コミを見ると「ゲーム会社特有のブラックさはあまり感じられなかった。わかりやすい指示のおかげでほとんどリテイクなく作業ができた。また休憩を適度に取る様に気を使ってくれたおかげで仕事を納期内におさめることができた」(CGデザイナー 40代後半 女性 450万円)というように、同じ業界でも会社が違えば待遇もだいぶ異なるようだ。
配属される部署や職種などによってはハードな場面も決して少なくないこともうかがえるが、内容としては、それなりに納得感を持って働けているといったものが多い。
「主に事務系職は残業は少なくゼロに近い方も多数います。エンジニアのソフト制作に関わる部署はやはり忙しいときは100時間を超える残業をしていることもあるようですが、忙しい時期は固定されているので、それ以外の時期に関してはゆっくり休みをとれるようになっています」(海外営業 20代後半 男性 600万円)
「残業手当や休日手当などの金銭的なフォローはあったものの、時期によっては平日深夜まで恒常的に残業をしている部署も多かった。育児介護のための時短制度は充実しており、また休暇も取りやすい雰囲気ではあった」(代理店営業 20代前半 男性 300万円)
「勤務時間も短く、残業代もきっちり支払われるので、非常にホワイト。もちろん配属される部署にもよるが、定時に帰っている人も多く、営業側であればどんなに遅くとも残業は22時までだし、全て残業代は支払われる。休日出勤も、若手の間はクリスマス前の商戦期に店頭に立つことがまれにある程度」(企画営業 20代後半 男性 700万円)
社内恋愛が多いのは「心が枯れていない証拠」?
ゲーム会社で働くやり甲斐という点でも任天堂人気はやはり高い。「自分の作るものが日本にあるゲーム市場に流れるのはとても嬉しいことです。スタッフロールに自分の名前がでた時の達成感はここでしか味わえないような気がします。ゲームがとても好きで寝る暇惜しんで作れるという方にはとても良い職場なのではないかと私は考えています」(経営企画 20代前半 男性 400万円)などの声が多く見受けられる。
「プロジェクトの一つ一つが新しいものづくりになるため、飽きが来ない。新しさ・面白さを創造することは困難ではあるがやりがいに満ちている」(プログラマ 20代後半 男性 650万円)
「ビデオゲームに関する仕事をしたい人にとっては非常に面白く、やりがいも多い仕事であると言えるかと思います。任される仕事の範囲も広く、色々な仕事に挑戦することの出来る環境です。逆にエンターテイメントやゲームに興味が持てない人にはなかなか面白みを見出すことが難しい環境と言えるかも知れません」(その他 20代後半 男性 500万円)
ちなみに、「社内恋愛は多い。社内恋愛からそのまま結婚に至るカップルも数多くいる」(代理店営業 20代前半 男性 300万円)らしく、寄せられた口コミの中には社内の恋愛事情に関する口コミも散見された。「部署内のプロジェクトや部活動を通じて出会い、恋愛に発展するケースが一般的」(同)だそうだ。
「自然と気が合うもの同士で仲良くなったりしていたので、たぶん、普段仕事で談笑しているときに『いいな』と思ったら一緒に昼食を食べに行こうと誘ったり、仕事が終わったあと、飲みに誘ったりしているのだと思います。忙しい中でも、心が枯れていない証拠だと思います」(CGデザイナー 40代後半 女性 450万円)
仕事も恋愛も充実とは羨ましい限り。1月31日には2018年3月期の連結業績予想の上方修正がなされ、売上高1兆200億円(前期比2.0倍)、営業利益1600億円(同5.4倍)の見込みとなった任天堂。好調な業績の背景には、こうした企業風土があるのかもしれない。