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菅田将暉、観る者聴く者を魅了する演技の凄み 『トドメの接吻』春海役で物語の鍵握る

2018年02月11日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 日曜ドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ)第6話の放送を前に、菅田将暉が歌う主題歌『さよならエレジー』のMVが話題になっている。本作に謎のストリートミュージシャン春海一徳役として、主人公であるホストのエイトこと堂島旺太郎(山崎賢人)に重要なシーンで意味深なアドバイスを残し、存在感を放つ菅田将暉。俳優としての実力を見せつけるだけでなく、音楽活動の幅も広げ、今作主題歌は以前から交友があった石崎ひゅーいが作詞作曲を担当、MVには菅田本人と山崎賢人が出演している。ドラマの世界観をそのまま投影しているが、MVに映る彼らの表情はひたすら美しく、とても切ない。


参考:山崎賢人と門脇麦、念願の再共演で見せた見事な掛け合い 『トドメの接吻』絆が芽生えた第5話


『トドメの接吻』というタイトルそのまま、主人公の山崎賢人演じる旺太郎がキスをした相手を殺してしまう能力(?)を持った宰子(門脇麦)にキスをされて死ぬという度肝を抜く設定の本作。キスをされると男は死ぬのだが、その7日前に遡り生き返ってタイムリープする。そこに12年前に旺太郎の父が船長を努めていたクルーズ船事故の謎が絡み、1つの謎が解けると新たな謎が生まれる展開の読めない物語となっている。


 旺太郎には、海難事故で弟を助けられなかったというつらい過去があり、その事件がきっかけでカネと権力を追い求める男になったのだが、キスで殺す女・宰子の出現により死のループを利用して個人資産100億円の社長令嬢の美尊(新木優子)を落とそうとしている。じつは宰子も、100億の女・美尊も、12年前事故に遭ったクルーズ船に乗っていて、その過去も含めすべての謎を解く鍵を握るのが菅田演じるストリートミュージシャンの春海なのだ。


 春海が旺太郎の住む街にやってきたのは偶然ではなく、彼らの過去の秘密も知っているような、どこか達観した存在だ。ストリートミュージシャンの彼は酔っぱらいや集まってきた人たちを前に歌っている。その歌も「帰って来たヨッパライ」「はじめてのチュウ」など、物語の核心を突くような選曲で気になる。当然、彼が歌う主題歌もドラマの世界と地続きとなっていて、観る者聴く者の心に響く。


 旬の若手俳優としての勢いを感じさせながらも、既存の枠を超えた寛容性と軽やかさを併せ持つのが菅田将暉の魅力であり、髪型を変えるように変幻自在にイメージを変えられる彼の凄みを本作では味わえるのだ。ただ達観しているだけでなく、飄々としたなかにもチャーミングで、どこか寂しげで、複雑な表情を見せてくれる。


 物語は主人公の旺太郎と美尊との関係が動くことによって周囲に強い影響が出始めてきた。登場人物それぞれに変化があり、今後の展開がますます気になる第6話だが、菅田将暉の独特の存在感や主題歌にも注目していきたい。


※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記


(池沢奈々見)