インディカーは、8日にISMレースウェイで“ウインドウスクリーン”型ドライバー保護デバイスの初テストを実施。テストを務めたチップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソンも親指を挙げ好感触を示した。
ドライバーの頭部を保護するデバイス“ハロ”の装着がF1では2018年シーズンより義務付けられた。インディカーでもコクピット保護デバイスの開発に取り組んでおり、“ハロ”ではなくウインドウスクリーン型の保護デバイスを検討。2月8日にフェニックスのISMレースウェイで初の走行テストを行った。
2月9~10日に全チーム参加のオープンテストが行われるISMレースウェイ。その前日となる8日はルーキードライバーの専有走行となっており、セッション終わりごろにウインドウスクリーン型の保護デバイスを搭載したマシンの初走行が行われた。
テストを担当したのは4度のドライバーチャンピオンを獲得しているスコット・ディクソン。午後の日差しと影、夕暮れ時、夜間照明と異なるコンディションのなか3回のショートランを行った。
「最大限の照明の移行を経験した。もっとも難しかったのは最初の走りで、影の中から強い太陽光が当たるターン1からターン2の間だったよ。夜間走行は簡単だったね。視覚的な遷移はみられなかった」
「僕たちは基本的にまぶしさに問題があるときは明るい方を見てしまうんだ。しかし、すべてがとてもよく見えたし、非常に満足しているよ」とディクソン。
インディカーの競技長を務めるジェイ・フライもテストに満足のようだ。
「我々はここで、太陽光のなか、夕暮れ、そして夜間の中で走行する計画を持っていた。いずれかがうまくいかないと、すべてを続行することはできなかったはずだ。我々が期待していた以上に良かったよ。でも、これはプロセスの一部だ」
「今日は光学に関するテストだった。シミュレーターや風洞でも行ったが、ドライバーと一緒に実際のマシンに乗せるまでには未知の要素があった。スコットが今日行ってくれたことに感謝しているし、ガナッシのクルーは素晴らしい仕事をしてくれた。次のステップに進まないといけないね」
また、ディクソンはフロントガラスに対してドライバーの視野が物理的というより精神的に調整する必要があると語っている。
「説明するのは難しいんだ。けど、保護デバイスをつけて何かを見ようとした時は、見え方はちょっと変わるけどほとんど変わらない。脳と目をその誤差に追いつかせる必要があって、走っている時間が長くなるほど、より適応することができたよ」とコメント。さらに改善案も語った。
「クルマの中に空気が流れないので、身体をより冷やす必要がある。またヘルメットに衝撃がこないので、クルマが非常に滑らかに感じてラグジュアリーなクルマに乗っているような気がするんだ。空気圧がかからないから、速く走っている感じがしないね」
医療コンサルタントを務めるテリー・トランメル医師と共にフロントガラスのプロトタイプを開発したインディカーのセーフティディレクターを務めるジェフ・ホートンは、ディクソンやチームからフィードバックに満足している。
「彼は明らかにフロントガラスがあると断言できると言っていたが、もっと周回すれば慣れることができるとも言っていた。ドライバーの冷却問題はテストの前からわかっていて、それに対処するコクピットの修正についての議論もすでに行われている。スコットは興奮しながら“致命的なエラーはない”と言ってくれたので、いくつかの問題を修正して進めていくよ」とホートン。
フライも「プロトタイプ」とう言葉を強調し、このテストに基づいて修正を行うと語っている。