ルノー・スポールF1のマネージングディレクターであるシリル・アビテブールは、新しいパートナーとなったマクラーレンF1チームが、将来的にルノー製パワーユニットの設計に関与してくるとしても、少なくとも契約期間の最初の2年間が過ぎた後からだろうと語った。
ホンダがマクラーレンに競争力と信頼性のあるパワーユニットを供給できなかった根本要因は、マクラーレン側からデザイン上の制約を課せられたことであるとの見方がなされている。
マクラーレンは2017年末でホンダとの契約を解消し、今年からルノーのカスタマーになった。昨年までとは異なり、2018年型シャシー『MCL33』はルノーのパワーユニットに合わせてデザインしなければならなかった。
アビテブールは、3年契約の最初の2年については、マクラーレンがルノーのエンジン設計に関与してくることはないだろうとしている。
「これは多少込み入った問題だ」とアビテブールは述べた。
「まず何よりも、我々はマクラーレンと組む前の時点でパワーユニット開発を完全に終えていた。つまり、マクラーレンの求めに設計が左右されていたホンダとは異なり、我々は自身の責任においてパワーユニットのすべてのパラメーターを設定済みだったのだ」
「今後については物事を段階的に進めていくことになると思う。我々としてはとことん実際的な観点で臨みたい。明らかに、2018年だけでなく2019年についても、マクラーレンが我々のエンジンのハードウェアに関与するにはタイミングが遅すぎる」
しかしアビテブールは、その後はパートナーであるマクラーレンの考案するエンジニアリング上の新しいアイデアを受け入れて変更を行う用意がある、と強調した。
「そうは言っても、謙虚な姿勢は持っていたい。我々の製品をもっと良くできるとする意見、もっと良くすべきだとする意見を受け入れ、マクラーレンとのディスカッションにも門戸を開いていくつもりだ」とアビテブール。
「そうしたことは中長期の話だと考えている。まず、我々の関係は始まりの段階であることを認識すべきだ。これが今後どう進化するか見極めなければいけない。もしもうまくいき、実りある建設的な関係にまで発展するなら、その関係を規定している現行の契約を見直すことも可能だ」
「そうなれば、今とは違う、より結びつきを深めた協力関係を中長期的に築いていける。ただ私は、それは2020年より前には無理だろうと考えている」
アビテブールの話から、2007年からのパートナーであるレッドブル・レーシングとの将来的な関係に関する言及が抜け落ちていることを、2018年末で両者が袂を分かつとの説の裏付けとする見方も出てきている。