2018年02月08日 19:22 弁護士ドットコム
今年4月から適用がスタートする「無期転換ルール」。契約が反復更新され、通算5年を超えた場合、労働者は希望すれば、有期雇用から期間の定めのない労働契約(無期雇用)に転換できるというものだ(労働契約法)。
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人手不足を背景に、前倒しして実施する企業もある一方、無期転換逃れをはかる使用者もあり、労使の攻防が続いている。問題に直面しているのは、日本で働く外国人労働者も例外ではない。
通訳や語学研修などを行なう「サイマル・インターナショナル」の外国人講師100人超は2017年11月、突然、2018年3月末までの解雇や契約終了を通知されたという。勤続10年以上の人もおり、「無期転換権」を取得できたはずの人が多く含まれていた。
理由は、会社の事業譲渡。講師たちがいるサイマルの部署を閉鎖し、別の会社「ベルリッツ・ジャパン」に移すためだという。講師たちは、希望すれば選考はしてもらえるが、採用の保証はない。
サイマルの教員組合はこれを無期転換逃れだと考えている。というのも、サイマルとベルリッツは、ベネッセグループのグループ企業(子会社)だからだ。
ただし、法的に争うのは容易ではない。外国人の労働問題にくわしい指宿昭一弁護士は、「法廷に持ち込まないと決着が難しい。容易な裁判にはならない」と指摘する。
「ただし、同一グループ内での事業譲渡で、無期転換を免れることができるなら、やりたい放題になってしまう。撤回してほしい」(指宿弁護士)
一方のサイマル側は「無期転換逃れということは全く考えていない」と否定。「事業譲渡は以前から検討しており、たまたまこのタイミングになってしまった。全員は無理だとしても、雇用の機会には最大限配慮している」と回答している。
フランス政府公式機関の語学学校「アンスティチュ・フランセ」(日仏学院)の講師たちも無期転換逃れを主張している。
学院側は講師に対し、給料約3割カットなどの条件悪化で無期転換するか、契約を更新しないかを選ばせているという。すでに条件を呑んでしまった講師もいるが、東京の講師たちが抵抗。東京都労働委員会に不当労働行為救済の申し立てをしている。
(弁護士ドットコムニュース)