厚生労働省が2月7日に発表した毎月勤労統計調査によると、2017年の実質賃金は16年に比べて0.2%減少し、2年ぶりのマイナスになった。名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増加したものの、物価の伸びに賃金の伸びが追い付いていない状況だ。
この報道を受け、「アベノミクス失敗」「私が死ぬまでにアベノミクスって結果出るの?」と経済政策の見直しを求める声が相次いでいる。
「やがて実質賃金も上昇する…を繰り返すエコノミストって何年言い続けるつもり?」
アベノミクスは、"富裕層や大企業が豊かになることで、雇用創出などを通じて国民全体が豊かになる"というトリクルダウンを目指していると言われることが多い。しかしトリクルダウンが起きる気配がないため、
「アベノミクスにより最低賃金・失業率・株価は軒並み改善しており、これからアベノミクスの果実が全国津々浦々に届けられ、やがて実質賃金も上昇するだろう…を繰り返すエコノミストって何年言い続けるつもりかね」
と批判する声もあった。
「信者が『2年で2%』未達に触れられず、『景気が実感できないのは当たり前』とか『有効求人倍率!』を連呼するのがうざい」という人も。確かに、有効求人倍率は8年連続で上昇しており、2017年平均は前年比0.14ポイント増の1.5倍だった。また完全失業率も7年連続で低下しており、2017年はわずか2.8%だった。
しかし有効求人倍率が高く、完全失業率が低いのは単に生産年齢人口が減っているからではないかという指摘もある。一方、日銀が掲げてきた物価上昇2%は一向に達成される気配がない。アベノミクスを支持する人には、こうした点にも目を向けてほしいということだろう。
「これで食料品の価格が上がってるんだから食生活を豊かにしなくてもエンゲル係数は当然あがるよね」という指摘もあった。総務省の調査によると、2016年のエンゲル係数は前年比0.8%増の25.8%で、1987年並みの高水準となっている。
エンゲル係数は生活水準が高くなるにつれて数値が低くなるため、戦後長く下落傾向にあったが、2013年以降、上昇に転じている。同省によると円安による食料品価格の上昇が主な理由だという。アベノミクスにおける金融緩和の結果、円安が進行し企業収益が上がったものの、食料品価格の上昇は家計を圧迫しているようだ。
「長期下落傾向の経済を横這いにしている可能性は否定できない」という声もあるが……
しかしアベノミクスでなければ、もっと状況が悪化していた可能性があるという意見も散見された。
「長期下落傾向の経済を横這いにしている可能性は否定できないんだよね。安倍首相を誰かに変えたら、今より悪くなる可能性がある」
アベノミクスでなかった場合にどうなっていたかは誰にもわからないが、現に実質賃金が下落していることは事実。2019年には消費税10%への引き上げも予定されており、家計はますます苦しくなりそうだ。