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実は、家具にも伏線が!? 『隣の家族は青く見える』セットツアーで明かされた秘密

2018年02月08日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 深田恭子&松山ケンイチが不妊治療に挑む夫婦を演じるドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。本作では、“コーポラティブハウス”を舞台に、様々な事情を抱えた4家族がともに生活していく様子が描かれる。


参考:『隣の家族は青く見える』セットほか多数【写真】


 今回、リアルサウンド映画部では都内某スタジオにある、本作の美術セットを取材。本セットを手掛けた、フジテレビ美術制作デザイナー宮川卓也氏が、解説を交えながらスタジオを案内した。


 “コーポラティブハウス”とは、様々な家族が意見を出し合いながら作る集合住宅のこと。一戸建てより安く、マンションよりデザイン性を重視できるという理由で近年注目されている物件だ。中庭を通じて各家族が“交流せざるをえない”造りの住宅を舞台にすることで、複雑な人間ドラマをよりリアルに描くことが可能になる。


 今回それぞれの家に足を踏み入れてわかったことは、各家庭に意味を持たせた装飾があること。例えば、五十嵐奈々(深田)&大器(松山)家は、奈々がダイビングスクールの講師であることと、大器がおもちゃメーカー勤務という設定を活かし、マリングッズやおもちゃなどがたくさん配置された空間になっていた。


 また、五十嵐家の冷蔵庫には、2人が趣味を通じて仲を深めたと思われる写真や、夫婦のルールが。このように、カメラにメインで映らないものまで、本セットではしっかりと作り込まれているのだ。


 ほかにも、五十嵐家の棚には職場や学生時代のサークルでもらったと思われるメッセージカードなど2人の思い出の品がたくさん。宮川氏は「2人とも好かれている人たちなんだなというのを出すところが五十嵐家のこだわりの1つ」と語り、セット内には2人の人柄を象徴する小物が多く飾られていた。


 五十嵐家での注目ポイントは、ドラマ内でもよく登場する滑り台だという。不妊に悩む2人にとって、今後のストーリーで重要なアイテムとなってくるそうだ。


 “コーポラティブハウス”の設計者である広瀬渉(眞島秀和)の家は、“建築士ならではの造り”にこだわっているそう。段差を多めにつけた複雑な空間ながらも、住みやすいという建築士の手腕を感じさせるようなインテリアとなっている。また、棚にも広瀬を象徴するデザイン本や建築模型など、彼のバックボーンが伺えるような物が並んでいる。


 “コーポラティブハウス”の中でも一般家庭に近い小宮山家には、多くの家族写真が飾られていたが、これは虚栄心が強い深雪(真飛聖)の性格の表れだと宮川氏は語る。子供の成長過程を壁に飾る“海外ドラマでよく見るような光景”を、深雪はよくわからずにやってしまっていると言う。ドラマ内で深雪は、夫・真一郎(野間口徹)に冷たい視線を浴びせ続けているが、家族写真や子供の写真に対して、夫婦2人の写真が少ないセット内からは、深雪は夫よりも子供に愛情を注いでいることを感じさせられた。


 スタイリストの川村亮司(平山浩行)&ネイリストの杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の婚約中カップルの家は、職業柄もあってか大人っぽいモダンな空間に。宮川氏がセットを制作する過程で一番避けたかったことが、どれがどの部屋かわからなくなることだったそうで、この部屋は同じオシャレハウスの広瀬家と比べても、色味を深く落としてシックに仕上げている。この部屋に上がった際、2人のキャラクターに合ったオシャレな香りが漂ってきたのが印象的だったのだが、それは意図したものではなく、ディフューザーを置いた時にたまたま出てしまったのだそうだ。


 ドラマ内ではあまり映ることはないが、ちひろがネイリストであることを表すスペースもしっかり用意されている。亮司もちひろも、アーティスティックな職業であることから、室内もスタイリッシュで洗練された雰囲気に。現在は、2人だけで暮らしている家だが、第3話で亮司は、前妻との間の息子を引き取らざるをえなくなった。子供に似合わぬこの部屋が、今後の話の展開でどのように変化していくかも注目だ。


 資料を見ながら、説明を聞き、改めてひとつの作品ができていくという作業の大変さを目の当たりにした。また、美術は綺麗な空間ができればいいだけでなく、撮影するときにいかに他のスタッフがスムーズに動けるかも重要になる。撮影、照明、録音のことを考え、壁や天井が可動式になっていることなど、完成した映像を観ているだけでは気付けないこともわかった。


 4話の放送を控え、今後“コーポラティブハウス”がどのように変化していくのか。ストーリーとともに是非とも注目していただきたい。(取材・文=沼本奈々・阿部桜子/写真=阿部桜子)