2018年02月07日 19:02 弁護士ドットコム
公立福生病院(東京都福生市)の男性課長(50代)が、上司からのパワハラで精神疾患にかかり、休職を余儀なくされたなどとして2月7日、病院の運営元を相手に損害賠償約550万円を求めて東京地裁立川支部に提訴した。
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訴状によると、パワハラが始まったというのは2016年秋ごろから。机を叩くなど威圧的な態度で、長時間罵倒されるなどしたという。男性は精神疾患にかかり、2017年4~7月まで休職している。
男性は東京管理職ユニオンに入り、病院側に団体交渉を求めたが、病院側が謝罪などを拒んだため、提訴に至ったとしている。
男性によると、上司は「何度も言わせるな」と、叱責時の録音を命じていたという。音声は裁判の証拠として提出されており、提訴後の記者会見で、その一部が再生された。まくし立てるような語調で、次のような発言があった。
・「はぁ、おめえ何様なんだよ。俺より上司か?」
・「日本語通じんのか、おめえは」
・「この病院から去ってほしいよ」
中には、次のように「確信犯」的な発言も。
・「普通はみんな嫌がって、これで行くとノイローゼになるけど、お前はならないところを見ると、よっぽど図々しいか、てめえのことしか考えてねえ人間だよ」
男性は現在職場復帰している。業務上、上司との接触が減ったため、叱責されることはないという
ただし、「被害者は私だけではない。昔からパワハラがひどく、やめた人、被害を組合に訴えている職員も何人もいる」と述べ、「パワハラをなくして、良い病院にしたい」と裁判の目的を語った。
なお、上司自身を訴えなかったことについて、男性の代理人の上田貴子弁護士は、「裁判例上、公務員の場合は国家賠償法が適用される(編注:福生病院は公立)。上司に(損害賠償を)請求しても棄却される可能性があったため」としている。
一方、福生病院は「訴状が届いていない」としてコメントを控えた。ただし、この上司については、今年1月に「行き過ぎた言動があった」として、訓告処分にしているという。懲戒処分の一種で口頭注意に近いものだそうだ。
(弁護士ドットコムニュース)