2月3日にスウェーデンで開催された『RallyX on ICE(ラリーXオン・アイス)』の開幕戦で、GRCグローバル・ラリークロスでホンダ・レッドブル・オルスバーグMSEに所属する同国出身のオリバー・エリクソンが、自身初となる"氷上のラリークロス"優勝を果たした。
モータースポーツ界では伝統的にオフシーズンとなる冬季の2月上旬から3月上旬にかけて開催されるこのラリーX・オン・アイスは、雪と氷に包まれた"ウインター・ワンダーランド"となるスカンジナビア2カ国、全4戦にわたって争われる。
2月最初の週末に、スウェーデン中部のエステルスンド・モータースタディオンで開催された開幕戦には、WorldRX世界ラリークロス選手権のRX2クラスに相当する、フォード・フィエスタベースの"スーパーカー・ライト"の車両をトップカテゴリーに据え、21名のドライバーがエントリー。
WorldRXで優勝経験を持つロビン・ラーソンやケビン・エリクソン、そしてRX2王者であり、2018年のWorldRX昇格を目指しているフランス人のシリル・レイモンドや、GRCにもエントリーするオースティン・シンドリック、コナー・マテルなど、ラリークロス界の強豪たちが集うなか、GRCではシビック・クーペ・タイプRをドライブする19歳のオリバー・エリクソンが善戦。
予選ヒートでは3戦中2戦で2位を獲得しセミファイナルに駒を進めると、その準決勝では3番手からのスタートにもかかわらず、すぐさま首位に浮上するとそのまま後続を引き離してセミファイナルを制覇。
しかし、予選ヒートとセミファイナルの合算タイムでエリクソンを上回ったベン-フィリップ・ガンダーソンと、ヴァシリー・グリアシンが決勝のフロントロウに。エリクソンは再びのセカンドロウ3番手から決勝に挑んだ。
その決勝スタートの1コーナーでは、ガンダーソンとGRCでオリバーのチームメイトを務めるケビン・エリクソンが接触し、スノーバンクにスタックする波乱の幕開け。その間隙をぬって首位に躍り出たオリバー・エリクソンは、その後も後続のグリアシンらが雪壁のコーナーに苦戦する展開のなか、堅実な走りで首位をキープ。
2番手に浮上してきたノルウェー出身の若手ドライバー、ソンドレ・エブジェンに7秒のリードを築き、そのままトップチェッカー。氷上のラリークロスで初の勝利を飾った。
「なんて日なんだろう! あまりに浮き沈みが激しくて、一時は決勝進出も危ういかもと心配していたけど、こうしてアメリカでの日々を経て白銀のステージで初勝利を飾ることができて本当に最高の気分だ」とエリクソン。
「昨年、このシリーズに出場したときは数多くの不運を抱えていたし、今年も予選ヒートまではまったく同じ展開かと思っていた。でもチーム(オルスバーグMSE)はすぐに問題を解消してくれたんだ。今回、ラリーX・オン・アイスは最高に楽しいイベントだと実感したよ」
2位に入ったエブジェンに続き、3位には同じくオルスバーグMSEから参戦したシリル・レイモンドが入り、ラリーX・オン・アイス初参戦ながらデビュー戦表彰台を獲得してみせた。
「Q3でスノーバンクに捕まったときはどうなるかと思ったけど、初の氷上レースで3位に入れたことは本当にうれしい」とRX2王者のレイモンド。
「ラリーX・オン・アイスは優れたドライビングスクールで、今日はチームメイトから多くを学ぶことができた。Q1でトップタイムを記録できたのも良かったし、決勝ではリズムをつかむのに時間がかかったけど、こうして結果が出せて本当に良かった」
また、ルノー・クリオRSのワンメイクとなるRXアカデミー・オン・アイスのクラスでは、ノルウェー人のシモン・シヴァーセンが勝利。2位には2014年のGRC王者でシビックをドライブしたジョニ・ワイマンが続き、ペター・ソルベルグの長男オリバーが4位に入った。
続くラリーX・オン・アイスの第2戦は、次週2月10日にWorldRXのスウェーデン・ラウンドの舞台でもあるホルヘで開催され、2月25日の第3戦にはインディ王者のジョセフ・ニューガーデンが、3月3日の最終戦にはエリオ・カストロネベスのゲスト参戦が決まっている。