2018年02月06日 10:02 弁護士ドットコム
就職活動では、予期せぬ質問に遭遇することがあります。インターネットのQ&Aサイトには、「面接で兄の職業を聞かれた」という大学生から相談が寄せられていました。
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相談者の兄はニートだといい、面接で兄の職業を聞かれた際、「なんとなく印象が良くない気がして」「とっさに嘘の職業を言ってしまった」そうです。その上で、「こういう場合は正直に『兄はニートだ』ということを言った方がいいのでしょうか?」と質問していました。
就職活動で家族構成やその職業について質問することは問題ないのでしょうか。面接で聞かれた場合、正直に答えなければならないのでしょうか。田村優介弁護士に聞きました。
「企業は、社会的責任を負って営業を継続する以上、顧客や採用希望者等の、営業活動の中で関わりを持つ人々の基本的人権を十分に尊重して、営業を行う必要があります。
採用選考の局面においてもこの原則は妥当します。
そのため、厚生労働省も、公正な採用選考のために、(1)応募者の基本的人権を尊重すること(2)応募者の適性・能力のみを基準として行うこと、を基本的な考え方とすべきである、として、具体例として、家族構成や、家族の職業に関する質問を挙げて、そのような質問は就職差別につながるおそれがあるとして望ましくないとしています」
では、今回のケースについてはどう対応すればいいのか。
「相談者の方は実際にそのような質問を受けて回答してしまったとのことですが、このような質問をしてくる企業ということで、企業の社会的な責任や人権についてどの程度意識しているのかが判明した、と捉えるのがよいかもしれません。
現に質問されてしまった場合の対処ですが、『求職中』など適宜の回答をしておけば足りるのではないかと考えます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
田村 優介(たむら・ゆうすけ)弁護士
ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、日本労働弁護団。残業代請求、不当解雇、パワハラなど、労働問題を多く手がける。共著「働く人のためのブラック企業被害対策Q&A」など。
事務所名:城北法律事務所
事務所URL:http://www.jyohoku-law.com/