先日発表されたF1でのグリッドガール廃止方針を巡って、まだまだ議論は収まりそうにない。廃止を決断したリバティ・メディアは、「グリッドガールの存在は、F1のブランドバリューと一致しない。現代の社会規範と相反するし、ファンにとっても適切ではない」と、その理由を表明した。
それに噛みついたのが伝説的な世界チャンピオン、ジャッキー・スチュワート卿である。
「グリッドガールは、男女差別でも何でもない」とスチュワートは言う。
「確かにF1では、女性ドライバーの数はごく少ない。でもそれとグリッドガールの存在は、まったく別の話だ。もしF1でも活躍できるだけの才能ある女性が出てくれば、F1チームは喜んで彼女を抜擢するだろう。F1には女性の存在が不可欠だ。女性ドライバーが出てくれば、TV視聴率も間違いなくアップする」
「スポンサーだって、多くの企業が名乗りを上げるだろうね。化粧品やアパレル、ファッションブランドが喜んでF1に来るだろう」
しかし実際にはF1における女性ドライバーはほんの数えるほどで、しかもほとんど活躍することなく姿を消して行った。
「若い女性は、カート場になんか行かないからね」と、スチュワートはその理由を説明する。
「ハミルトンもアロンソもベッテルも、みんなゴーカート出身だ。子供の時から週末には必ずカート場に通って腕を磨き、成長して行った。他にも世界中で何十万人もの少年たちが同じことをしたが、最終的にF1に来れるのは毎年20人しかいない」
「自動車レースにおいて、女性が男性より劣っているはずがない。しかし残念ながら、分母が決定的に小さ過ぎるんだ」
そして再びグリッドガールの話題に戻ったスチュワートは、「彼女たちの存在は、F1の豪華さに華を添えてきた」と評価する。
「そして私を含め関係者たちは、いつも敬意を持って接してきた。どのグランプリでも、グリッドガールたちは決して挑発的な見せ方はされてない。ビキニ姿でグリッドに立ってるわけじゃない。アメリカでのセクハラ騒動とF1のグリッドガールは基本的にまったく違うものなのに、F1は大急ぎで予防薬を飲むことに決めてしまったんだね」