メルセデスF1のパワーユニット部門責任者アンディ・コーウェルは、ドライバーが常に限界までプッシュできるようにエンジンの制限を除いたとしても、コース上でのレース内容が実際に変化することはないだろうと語っている。
「それで何かが変わるとは思わない」とコーウェルはRACER誌に語った。
「相対的なパフォーマンスは、アブダビでの状況と同じものになるのではないかと思う。何かが変わるときはコストも上がる」
現状ドライバーはシーズン中にエンジンユニット数を超過しないように最大の注意を払っている。また一部のチームでは、プラクティスセッションの走行時間を制限してさえいた。
2018年にはチームが使用できるパワーユニット数が4基から3基に減りレースは全21戦となるため、状況はより切迫する一方だろう。制限を越えるとドライバーはグリッドペナルティーを科されることになる。
「ひとつのエンジンを土曜と日曜で使うと走るのはおよそ600kmだけだが、その後も全開でそれ以上の距離を走るようになる。だが、脆弱性に対するセーフティマージンは同程度になるだろう」とコーウェルは語った。
「トラブルが起きるリスクはほぼ同じだ。(エンジンが)熱くなるとマシンの冷却が落ちてくる。そうなるとすぐにトラブルに見舞われ、故障が起き始める。『わかるかい?こういう走り方をすると、脆弱性が出てくる』とルイスと話し合うことになるだろう」
これまでになくパワーユニット数の制限が引き締められたのは、純粋にマニュファクチャラーのコストを抑制するためであることを、コーウェルは認めている。
「昨年は4基で今年は3基になった理由のすべては、純粋に製作コストのためだ。それにはカスタマーチームへエンジンを供給するコストも含まれる」
「ワークスチームよりカスタマーチームの方が数が多い。カスタマーチームのコストを削減するには非常に効果的なやり方だ。財政状況において非常に良い影響が出るだろう」
それでもコーウェルは今シーズン導入される新たな3基のエンジン制限を支持してはいない。
「クレイジーだよ。マニュファクチャラーは実質、多くのパーツを作り直さなければならなくなる。それには莫大なコストがかかる上、マニュファクチャラーはそのコストを回収することができないんだ」