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勝負の分かれ目となったレースとは/2017MotoGPベストレース4選(後編)

2018年02月02日 20:12  AUTOSPORT web

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MotoGP最終戦バレンシアGPで2017年の王者に輝いたマルク・マルケス,
2017年シーズンのMotoGPは、チャンピオン争いが最終戦までもつれるほどの接戦が繰り広げられた。特に後半からのマルケスとドビジオーゾによる激しいバトルはファンを魅了した。

 そんな2017年シーズンの珠玉といえるレースを二輪ロードレース専門誌『ライディングスポーツ』の編集部が厳選した4レースを振り返る。

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■第17戦オーストラリアGPはタイトル争いの行く末を決する一戦に
 3連戦の2戦目、オーストラリアGPは事実上、タイトル争いを行く末を決する一戦となった。

 ポイントリーダーのマルク・マルケス(ホンダ)が6勝目をマーク。対するアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)は苦戦を強いられ、13位と低迷。ふたりのポイント差は33ポイントと大きく広がってしまった。

 シリーズ屈指の高速コースであるフィリップアイランドで、ドゥカティ勢は苦戦。高速コーナーが続き、ハードブレーキングポイントの少ないコースレイアウトはドゥカティのマシンにまったく合わず、チームメイトのホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)も15位がやっとという状況だった。

「決勝レースは大きな失望でしかない」とドビジオーゾ。

「チャンピオンシップで大きくポイントを失うことになった。サーキットとマシンの相性が悪すぎた。今年はマシンにさまざまな改良を施して、シーズンを通じて戦闘力を維持してきたが、ハードなブレーキングポイントが少なく、高速コーナーの多いフィリップアイランドのコースでは、ある種の限界を露呈してしまった。気持ちを切り替えてマレーシアに集中したい」

 マルケスは接戦のバトルとなったトップ集団のなかでポジションを守りながら、タイヤマネージメントも考えて周回を重ねると、終盤にスパートをかけ、最終的に後続に約2秒のリードを取って優勝した。

 ドビジオーゾとのポイント差を大きく開いたマルケスは「ドビは今週末、少し苦戦していたが、僕はマシンの感触がとてもよく、それを最大限に活用した」とコメント。また、激しいトップ集団での争いについては次のように語った。

「レースがスタートしてからは落ち着いてタイヤのマネージメントをしなければならないと考えていたが、ザルコが僕に当たってからはバトルになると思った。激しい集団の中でポジションを守らなければならなかったが、アタックもしなければならなかった。とにかく状況をコントロールしようと頑張った。そして残り8周を全力で走り、3、4周は本当に一生懸命プッシュしたよ。優勝できてうれしいが、33ポイントのアドバンテージでマレーシアに向かうことができたことがもっとうれしい」

■タイトル争いの決着がついた第18戦バレンシアGP
 オーストラリアGPの翌週に開催されたマレーシアGPで、ドビジオーゾがシーズン6勝目を記録。タイトル確定の可能性のあったマルケスは4位と着実に走り切り、ふたりのポイント差は21ポイントに縮まり、チャンピオン争いは最終戦バレンシアGPでの決着となった。

 最終戦でドビジオーゾが優勝しても、マルケスは11位以内でフィニッシュすれば、4度目のタイトルを獲得。ドビジオーゾが2位以下ならば、マルケスはノーポイントでもタイトル獲得となる。いずれにしてもドビジオーゾにとっては、厳しい条件のなかでの最終戦となった。

 決勝ではマルケスは序盤はトップを走るが、ザルコが先行し、マルケスは2番手で周回を重ねる。

 ドビジオーゾはペースが上がらず、チームメイトのロレンソに引っ張られる形で5番手で周回を重ねる。中盤すぎにロレンソに対して、ドビジオーゾを先行させるオーダーが出るが、ドビジオーゾは前に出ることなく、ロレンソの背後で周回を重ねる。

 ロレンソは先行する集団に追いつくまでドビジオーゾを引っ張る戦略を取り、ドビジオーゾも自身の状況を判断しそれに従っていた。

 終盤に入った23周目にマルケスが動き、ザルコを交わしてトップに浮上するが、その直後の1コーナーであわや転倒。驚異的なリカバリーで立て直したものの、グラベルに飛び出し、ドビジオーゾの後方、5番手に後退してしまう。

 ところが、その翌周にロレンソ、ドビジオーゾが相次いで転倒リタイアに終わり、タイトル争いに決着が付くことになる。すでにトップのふたりとは大きな差があったマルケスは3位をキープしたままゴール。グランプリ通算6回目、MotoGPクラス4回目となるチャンピオンを獲得した。

 2017年のチャンピオンを獲得したマルケスは「夢のようだ。6度目のタイトルという言葉はは重い。正直、今年は本当に一生懸命、仕事に取り組んで来たので、例えようもないくらいにうれしい」とコメント。

 一方、ドビジオーゾは「すべてを出し切った。マルケスより速くはなかったが、最後まで戦い抜いた。オープニングラップからハードにプッシュし、まったくミスを犯さずに、よいポジションにつけることができたが、それ以上切れるカードが残っていなかった。ホルヘより遅いセクションや速いセクションがあったので、結局彼の後ろにつくことになった。それによって、よりスムーズにライディングすることができたので、ホルヘが前にいたことはポジティブだった」とレースを振り返った。

 2017年のMotoGPクラスのチャンピオン争いは、最終戦決着までもつれたものの、終盤戦のふたりのチャンピオン争いは、非常にクリーンで、最終的にマルケス、ドビジオーゾともにシーズン6勝を記録した。そして、最終戦を終えたふたりは、お互いを次のようにたたえあった。

「アンドレアはすばらしい対戦相手だったので、今日、彼がフィニッシュすることができなかったことは残念。彼にとっても今シーズンはすばらしいものだったはずなので、今日は一緒に表彰台に上がりたかった」とマルケス。

「マルクを祝福したい。彼は今シーズンも、ライバルとの差をつけて、それをうまくコントロールしていた。いずれにしても、僕も素晴らしいシーズンを送ることができて非常にうれしい」とドビジオーゾ。